2025年の大阪・関西万博と言う目標に向けて、観光産業は感染症との共存を念頭に、基礎体力づくりと高付加価値サービスの提供を、目指して行くべき時です。高付加価値サービスの舞台は「宿泊、飲食、体験など滞在活動である」という認識のもと、産業構造を再構築して行く必要があります。
1.まずシンクタンク各社が提唱するように、著しく遅れた観光産業のデジタルシフトが急務で、各宿泊施設に個別保管された顧客データの共用によるマーケティング活動や、リソースの共同活用など、観光産業の基礎体力の底上げは前提条件と言えます。
2.その上でオンライン1stを念頭に、観光地の魅力を再編集する必要があります。単に美しい映像だけであれば、「世界遺産」などの既存の映像コンテンツが競合になってしまいます。如何に現地の人と対話できるのか?現地の体験を共感しながら楽しめるか?など「メタ観光」視点で、魅力ある着地型観光の開発が必要です。オンラインツアーで予行演習した上で、現地を訪れるゲストは「上級者」であると認識し、通り一遍の解説ではなく、踏み込んだ解釈や視野拡張に至るコミュニケーションなどの価値提供が必要です。単なる観光モノづくり体験ではなく、連泊を前提として「上達を実感できる修行体験」も有効です。オンラインでは提供できない味覚・嗅覚・触覚を含めた総合的な誘客プログラムが、リアルな高付加価値サービスになります。
3.そして何より観光産業の根本的な産業構造を見直す必要があります。交通事業、宿泊事業、集客事業、旅行代理業など複数のプレイヤーが存在し、各々のテリトリーでのセールスには力を入れますが、総合的な高付加価値サービスの提供主体が不明確なのです。自然や街における誘客プログラムを通じて、長期滞在・高単価サービスを志向するためには「宿泊事業者」を中心とした、着地型観光の開発が不可欠だと考えます。自動車などの製造業と同様に「価値ある商品サービスの開発」が「当時者の収益」に直結する構造への再編が必要です。
観光1.0(マスツーリズム)、観光2.0(多様なニューツーリズム)を経て、SNS革命に対応した高付加価値な誘客プログラムを成立させる「宿泊施設を中心とした魅力ある着地型観光【観光産業3.0】へのシフト」なのです。
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