1 「どこででも働ける=どこででも暮らせる」時代 /Ⅱ 都心部・郊外部・田園部の多極連携 /Ⅲ移動創発による沿線活性化
Ⅰ 「どこででも働ける=どこででも暮らせる」時代
今回のコロナショックによるリモートワークの普及で最も大きな影響があるのは「暮らす場所の自由度拡大」だと考えます。もちろん首都圏においてもホワイトカラーなど約半数のワーカーに限られますし、フルリモートではなく週2〜3日出社のハイブリッド形式が主流になるでしょうが、「どこででも働ける =どこででも暮らせる」という認識は定着しつつあります。とりわけワークライフバランスを重視する若い世代のリクルーティング条件としてリモートワーク或いはハイブリッドワークの採用は必須になるのではないでしょうか。これまでの「会社縛り」による家や街選びから解放され、「暮らしたい家&街」の選択肢が圧倒的に増えることになります。
国土交通省による「中間層世帯の経済余力調査(2019)」によると、全国平均の2倍を超える家賃や長時間通勤に伴うコストなどの負担が大きい東京都は最下位になり、首位の三重県とは月額10万円以上の差が見られました。従来の高地価の都心に高層ビルを建て、高収益事業を展開する企業に就職し、高賃金を得て高賃料を支払って暮らすというハイリスク・ハイリターンの一極集中ライフだけでなく、ゆったりした郊外エリアさらには田園エリアに生活拠点を移し、賃金は多少低くても住宅関連費用も安く、空間的、時間的ゆとりを楽しむというローリスク・ローリターンのライフスタイルを選択することも現実味を帯びてきます。
GDPの伸びへの貢献度は低いかもしれませんが、暮らしやすさとゆとりとを手に入れる多様な選択性が、生活者各々の幸福の最大化に寄与して行くというライフスタイル動向への対応が求められているのです。
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