Ⅰ お寺の可能性 /Ⅱ 街テラという考え方 /Ⅲ 街テラの効用
Ⅰ お寺の可能性
お寺は全国に約7.7万ヶ所登録されています。(2019文部科学省統計)コンビニエンスストアの約5.8万店を凌駕する多さですが、江戸時代のピーク時の2/3に減っていると言います。因みに神社は約8.8万社あります。
元々は仏教の修行僧の学校が起源でしたが、江戸時代にキリスト教に対抗するため幕府が「寺請制度」を導入し、お寺は檀家として民衆を管理し、証明書の発行など役所的な役割を担って全国に展開されました。また寺子屋などの教育機能や浅草寺の例のように周辺には飲食店や芝居・寄席が並び賑わいもあった「地域の拠点」だったのです。
ところが明治政府が天皇を中心に据え神道を重視する立場を取ると、旧権力に対する住民からの反感も交えて廃仏毀釈運動が起こりました。最終的には寛容な日本人気質の中で神仏習合という流れに落ち着き今日に至りますが、お寺の持っていた役所・学校・賑わい機能は切り離され、他の都市施設に移行し「葬式機能」だけが残されたという訳です。
都市に転入する人が増え 地方では檀家が維持できず、廃寺の動きも顕著になってきています。高齢・多死社会を迎えて都心では納骨堂などが多数建設され、嫌悪施設として認識される状況で、本来は「生きること&死ぬこと」に対して最も体系的・科学的な理論を備えたお寺の役割を見直す必要は無いでしょうか。オウム真理教の事件を含めた宗教への警戒感の高まりは理解しますし、政教分離に異論ありませんが、必要以上に宗教を日常生活から遠ざけるべきでは無いと考えます。都市はコンビニよりも多いお寺と、もっと連携すべきなのです。
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