Ⅰ寄席、相撲、歌舞伎の興行方式 Ⅱ オンライン(公演)の過酷さ Ⅲ 次世代の登竜門システム
Ⅰ 寄席、相撲、歌舞伎の興行方式
日本における伝統芸能の興行方式では、大御所と新人とが同じ場所に名を連ねる仕組みが多いと思います。出演時間や設えなどの格差はありますが、大抵は3~4時間と長時間の興行の中に前座や端役として、組み込み盛り込まれています。
寄席であれば昼・夜それぞれ4時間程度の公演時間に、落語や漫才、コントを交えながら15〜16組が出演します。そのうち落語では前座・二つ目・真打の三段階が存在し、真打がトリを務める構成になっています。相撲は幕内・十両・幕下・三枚目・序二段・序ノ口の6階級があり、さらに幕内には横綱・大関・関脇・小結・前頭の5つの格付けに分けられます。同程度の力士の対戦力が朝9時からの前相撲に始まり、夕方6時に結びの一番が終わるまで続きます。そして大関横綱はもちろん十両など昇進が話題になるなど、力士を育成する仕組みになっているのです。
歌舞伎の場合も昼の部・夜の部に別れ、平均4時間の公演時間の中で、市川海老蔵や中村勘九郎などが主役を務めるトリの演目の前に、多彩な役者が出演する短い演目が並びます。
いずれもお弁当などの食事や休憩の時間を交えながら、半日から丸一日楽しめるような構成になっています。忙しい現代社会の生活リズムの中では、長時間の公演はズレているかも知れませんが、歌舞伎の一幕見席のようにクイック鑑賞できる仕組みも用意されています。
日本伝統のこの公演システムでは、時間にゆとりのある客達は大トリの前座を務める、若い演者も見る仕組みになっています。その中で才能ある若手を見つけ、将来の成長を見越して贔屓にしていくことも楽しみの一つになっているのではないでしょうか。
古臭く見えるかも知れませんが、若手が大御所の演技を間近で感じ学ぶ機会となり、目利きのお客様からの厳しくも温かい応援を受ける機会を作ることで、人材育成のシステムとしても機能していると考えます。
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