Ⅰコロナ前から供給過剰 /Ⅱ住宅・オフィス・ホテルのボーダレス化 /Ⅲ くらすホテル
Ⅰ コロナ前から供給過剰
2020年度の宿泊業の倒産件数は前年度比66.7%増の125件(帝国データバンク)に上っています。コロナ禍でのインバウンド消失に加えて国内移動も制限され、宿泊業は最もダメージを受けた業種といわれます。
2013年に1000万人を超えたインバウンド観光客は、2016年には2000万人、2018年には3000万人を超え、東京五輪が開催される2020年には4000万人と想定されていました。この活況予測を元に、2018年後半から一気にホテルの開業ラッシュになったのです。おそらく2015年頃にスタートしたホテル計画が具現化したものと想定されます。2019年から2021年の3年間で開業するホテルの客室数は、主要9都市だけでも8万室になります。2020年1月段階(メトロエンジンリサーチ)でシティホテル1179施設、リゾートホテル1576施設なのに対し、ビジネスホテルは8416施設となっています。
コロナ禍以前から供給過剰が不安視されていたわけです。特にビジネスホテルとして分類される宿泊特化型の開発が多く、今後の計画でもアパホテルや東横インなどが数千室を開業予定です。インバウンド需要に寄りかかった宿泊特化型ホテルの破綻は必然とも言えるのではないでしょうか。
星野リゾートの星野佳路氏は「ホテル業界について世界の発展の歴史を見て気づくのは、供給過剰と供給不足とを繰り返しているということだ。景気がいい時に多くの事業者が同じようにホテルを作る。すると供給過剰になり淘汰が起きる。それによって古くなった施設のリノベーションが起こって新陳代謝される。私たちは需要の少ない状態には慣れているし、泊まりたい需要を作り出すことが私たちの仕事だと考えている」と言い切ります。
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