top of page
検索
  • 執筆者の写真admin

都市づくり5.0 Beyondコロナの都市づくり50のヒント(48) 都市の幸福論

Ⅰ幸福論の現在位置 /Ⅱ 幸福の定量化 /Ⅲ 都市づくりへの展開


Ⅰ幸福論の現在位置

「モノの豊かさからココロの豊かさへ」などのコンセプトが提唱され出して久しいと思います。ノーベル賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマン教授による「年収と幸福度は一定程度までは比例関係にあるが、年収7.5万ドル(約800万円)程度を超えると幸福度は頭打ちになる」という研究成果は有名です。日本でも成熟社会化とともにGDPなどの経済指標だけでない評価軸の模索が盛んで、政府が2021年度の「骨太の方針」の中でウェルビーイングを指標化する動きがあると言います。

「精神的な豊かさ=幸せの追求」というのが分かりやすいのですが、「幸せ」の概念はあいまいで多様な解釈で議論されてきました。直近20年ほどの研究では「生科学的に良い状態に向かう行為」と定義され、急速に体系化が進んでいます。いわゆる「ポジティブ心理学」と言われる分野で、1998年に米国心理学会長のマーティン・セリグマンとクレアモント大学のミハイ・チクセントミハイ教授によって提唱されました。「幸せとは“状態”ではなく“行為”である」という視点で、それは「訓練で改善できる」とされました。その成果として健康や生産性の向上(=幸せな状態)が得られるというものです。個人の幸せを高める能力(心の資本)として「HERO」の頭文字でまとめられた「4つの前向きな姿勢」が示され、幸せな集団の特性として「FINE:信頼できる関係」の頭文字で表される4つの特性が提示されています。「仕事がうまくいくと幸せになる」のではなく、「幸せだから仕事がうまくいく」という因果関係が研究により明らかになったのです。幸せだから難しい課題に対しても積極的に挑戦することで創造性を発揮し、欠勤率や離職率が下がり、結果として生産性が高まるというわけです。具体的には営業職で30%、創造性では300%も生産性の向上が見られ、1株あたりの利益が18%も高いというエビデンスが寄せられたそうです。(矢野和男著「予測不能の時代」)



※以下の【Ⅱ 幸福の定量化 /Ⅲ 都市づくりへの展開】につきましてはnoteにて購入いただけますと幸いです。

最新記事

すべて表示

【内容】 道路に関する規制 法律よりも周囲の理解 ほこみちの可能性 1.道路に関する規制 ウォーカブルな街を展開する際の規制として、道路の場合は「道路法」と「道路交通法」があります。 それぞれの「禁止行為」「許可や免許などの手続き」について規制されています。 道路交通法第76条「何人も、交通の妨害となるような方法で物品をみだりに道路においてはならない」とあります。 具体的には歩道の真ん中にテーブル

【内容】 古来、「道」は生活の場だった 戦後のモータリゼーションによる変化 再び「ウォーキング」の奨励 1.古来、「道」は生活の場だった 「ウィーカブル」を考えるために「道」についての、沿革を整理します。 江戸時代、100万人の人口を抱えた江戸の街は、諸藩の武士や出稼ぎ労働者などが集まり、男女比が8:2と極端な男性偏重の社会でした。 江戸で暮らすシングル男子を最大顧客にして、「棒手振り」と言う移動

【内容】 ウォーキングが心身にもたらす効能 健康とウォーキングに関する知見 その他の効用 1.ウォーキングが心身にもたらす効能 (一社)日本ウォーキング協会によると、ウォーキングの健康面における効果として、下記の9つが挙げられています。 心肺・血管強化:酸素摂取量が増え、血液を浄化し、心臓血管病などを防ぐ。 メタボ予防改善:体脂肪を減らし、代謝を促し、内臓脂肪症候群を防ぐ。 悪玉追放:悪玉コレステ

bottom of page