都会の祝祭感溢れるライティングと喧騒の中では、季節の祭りの「設えや賑わい」はかき消されがちですが、鑑賞・消費に終始する生活においては、祭りによる「特別な関係機会」が非常に重要だと考えます。盆踊りの輪の中に入りみんなで踊る事や神輿を担ぐ一員に加わる事は、私心を脱ぎ去り一つの事に尽くす達成感をもたらしてくれます。お祭りを見に行くだけならイベントと変わりませんが、一歩進んで参画する関係になった時には、日常のヒエラルキーや役割と関係なく一体感を味わう機会になります。近年ハロウィンが急速に盛り上がり、市場規模は約1200億円(2019年日本記念日協会)とバレンタインを抜き、7000億円市場のクリスマスに次ぐ規模に成長しています。ハロウィンの魅力は何と言っても「仮装」出来る事で、一種の変身と言えます。 東京渋谷や大阪道頓堀は仮装した若者たちで溢れ街丸ごと仮装パーティ状態です。普段の自分ではない非日常感を楽しみ、SNS 受けも含めて仲間と一緒に騒げるところが、好評な要因のようです。
日本人は普段は恥ずかしがり屋で控え目で礼儀正しいという印象がありますが、新橋で酔っ払ったサラリーマンの変節ぶりがよくニュースになるように、抑圧され鬱積したストレスが、酒の力を借りて一遍に噴出させることがあります。ハロウィンもこれに似た現象と感じるのは私だけでしょうか。ただし、これは何も現代に限ったことではなく、日本では伝統的に「ガス抜き」の仕組みがあったのです。昔の村祭りの仕切り役は、毎年持ち回りになっていました。20軒あれば20年に一度順番が回ってくるわけです。これは収入に関係なく、その祭りについては責任者として、上座につけるということです。普段は庄屋さんに頭が上がらなくても、その祭りに関しては仕切って指図ができるわけです。また祭りの夜に限っては自由な男女交際も認められたといいます。閉鎖的なコミュニティの村社会に設けられた巧みなガス抜きの仕組みだと考えます。
一方 日本橋エリアでコミュニティ形成の方策として「ネオ師弟制度」が検討されると聞きました。日本橋周辺のタワーマンションに入居する新住民と、古くから日本橋で商売をしてきた人たちを「師弟」という関係で繋ごうというものです。街に新しい兄弟子やお馴染みができるかも知れません。もちろん時には煩わしさを感じる事もあると思いますが、通り一遍で希薄になりがちな人間関係を再編成する機会になると期待しています。
日常的なヒエラルキーや社会関係を組み替える仕組みづくり機会づくりは、変化を通じて視野と思考を広げる方策として非常に有効だと考えます。
【祭り(ハレとケ)による変化拡張:祭りの活用による期間限定の関係組み替え機会】
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