「歩いて楽しい街づくり」は以前から提唱されてきましたが、近年見直されているネイバーフッドやウォークスコアの例でも明らかなように、街の交流舞台として「街路」は極めて重要な役割を担っています。2025年のパリ五輪に向けて変貌しようとしているパリを筆頭に、欧州の都市は「15分都市」と言う考え方で、15分の徒歩圏で生活の基本機能が充足できる都市機能配置を推進しています。さらに一歩進めて都市計画家のヤン・ゲールの言葉のように「良い街ほど、歩いている以外の人が多い」街路環境をめざせないでしょうか。「歩いている以外の人」とはカフェでお茶しながら駄弁ったり、ベンチで本を読んだり寛いでいたり、通りに佇んだり階段に腰掛けて通りを眺めていたりする人を指し、その数の多さが良い街の指標だと言う訳です。「歩く以外の人」を増やす為にはきめ細かな街路環境の工夫が必要です。まず街路の基本機能として「安全」である必要があります。自動車からの安全性はもちろん、人の眼が有って見守られている防犯面での安心感も重要です。さらに夏の日差しや突風からも守られている必要があります。その上で変化があって「面白い」ことが望まれます。一番変化を作り見ていて面白いのは「街の人」で、人の行動や生活を垣間見ながら歩けたり、佇めたりする街路が最高なのです。「街にとって大切なのは地上30フィートの世界観だ」魅力的な街づくりで有名な米ポートランドの都市計画責任者が言うように、街路沿いの建物一階は出来る限る路面店になって、カフェテラスのように滲み出している事が望ましい訳です。せっかく低層部に商業施設が入っていても、インナーモールになってしまい街路側が裏になっていては台無しです。歩く以外にも色々なアクティビティが想定できます。一人でランニングすることは気恥ずかしくても、チームでのランニングやラジオ体操であれば抵抗ありませんし、子供と一緒だったり犬を散歩させていると、声を掛けられ会話が始まる例も多く見られます。
都市の街ぎわ環境での人と人との交流・化学反応が、異なる視点や価値観を融合させ、文化を洗練・成熟させていく事につながると考えます。
【街路アクティビティによる交流拡張:歩いている以外の人を増やす設えづくり】
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