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都市公園の未来 ② そもそも都市公園って何なの?

執筆者の写真: adminadmin

そもそも都市公園とは、1956年(今から60年以上前です)制定の都市公園法に定められた国または地方自治体が設置した公園又は緑地を指します。住区基幹公園(街区公園、近隣公園、地区公園)、都市基幹公園(総合公園、運動公園)大規模公園、国営公園、緩衝緑地等に分類されています。このうち都市づくりに関連の深いのは、住区基幹公園と都市基幹公園になり、両者を合わせると東京に約8000箇所、全国では約10万箇所あります。

従来の公園は、基本的に公共=行政が管理することが前提で、公共財として最低限の維持管理をするという公物管理の枠内で、「誰にも何にも使われていない」公園ばかりという状況でした。2004年に地方自治法が改正され、公園の指定管理者制度による維持管理の民間委託が進みました。さら行財政の悪化を受けて、2017年から導入されたP-PFI事業では、収益施設における「集客魅力」も大きな要素になり、新宿中央公園のカフェやヨガスタジオのような整備環境やサービス水準の向上が見られるようになってきました。名古屋の久屋大通公園のように約40店が軒を連ねるショッピングセンターのような事例も出てきています。最も最先端と言えるのが、大阪城公園や天王寺公園で実現している PMO型事業で、園地の活用及び管理運営を一括して民間に任せ、集客して収益を上げ、借地料を得る形式です。また整備手法としては横浜のアメリカ山公園や渋谷のミヤシタパークのように、基盤となる部分に収益施設を整備し、その上部を公園整備する立体都市公園制度があります。

整備や管理を担う行政側は、財政負担を軽減するために様々な民間委託制度を創設し、委託期間を長期化することによって、より整備水準の高い環境整備を図っています。このように「整備や運営の手法」ばかりが先行している状況といえます。この動向がエスカレートすると、公園は「ショッピングセンターの中庭」のようなプライベート空間になってしまうのではないでしょうか。公園のパブリック性の担保は喫緊の課題と考えます。

一方でよく指摘されるように公園では禁止事項ばかりが増えているのも事実です。そもそも都市公園法は「べからず法」として作られました。これは戦後の制定時に、公園がどんどん不法占拠されて宅地になったり、畑として耕されたりするので、公園を保護するための法律として作られた経緯があります。ですから何かやろうというときには許可が必要な形式になっているのです。ボール遊びやスケボー禁止は当たり前、犬の散歩や子どものハシャギ声から噴水の音までが苦情の対象になることがありますが、都市公園法の下で定められた各自治体の条例における禁止事項は、火器の使用や迷惑行為程度なのです。行政は近隣の合意形成がなされ「苦情がないならOK」というスタンスなのです。過剰な禁止事項が生まれる構造も公園のあり方の課題と言えます。

時代ニーズに対応しながら、運営財源、パプリック性、近隣合意などをバランスさせながら「都市公園の未来」を考える必要がありそうです。



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