都市の醍醐味は多様な人たちとの交流にあり、様々なコミュニティ同士が会合し、刺激し合える場づくりは、次世代の都市公園の重要な役割だと考えます。東京都立大学教授の饗庭伸さんが「これまで狭い室内にしか居場所の無かったオタク達が、秋葉原の広場に集まって踊っているのを見て、広場の重要性を認識した」とコメントされているように、コミュニティを拡張するには「お祭り広場」が必要なのです。
単に場所を提供するだけでは不足で「緩い連帯感と開放感」が必要で、「表現しても良い、声がけしても良い」と言うことを促す空気と機会が求められるのです。具体的には昔からある「祭りの設え」になります。祭りの場では社会的なヒエラルキーとは関係なしに、フラットになれますし、無礼講的に日常的なタブーが外され、祝祭感のある環境で踊るプロセスでトランス状態になり、弾けることができます。この祭りの設えが日常生活のフラストレーションを解消するガス抜きの仕組みとして機能し、共同体社会を維持できたと言われています。法被や浴衣などのユニフォーム的な設えによって、特別感とともに連帯感、フラット感を共有することができます。ハロウィンに限らず仮装や変身による開放は、昔から有効な手法だったのです。
「お祭り広場」として、祭りの設えを常設化するために、「富山グランドプラザ」がベンチマークになると考えます。富山に「グランドプラザ」ができてから「まちなか広場」という概念が定着しました。道路を廃道にして、新しい広場条例を作って、公園とは異なる独自の位置付けで管理する行政財産という方法を編み出されました。スケートボードそのものを禁止するのではなく、「見かけたらその都度声をかけて配慮してもらう」というスタンスが、先進的だと考えます。良し悪しを判断する理屈を大切にするという管理方針で、「行為」ではなく「程度」で声がけ基準を決めているということです。
祭りとイベントの違いは、参加者の主体性にあります。空間の祝祭性もさることながら、お客として観賞するだけでなく、参画者として盛り上げる自覚が重要です。お祭り的な位置付けのプログラム開催が、ユーザーと管理者との新しい関係を醸成していくのでは無いでしょうか。「お祭り広場づくり」は都市の魅力化方策の最右翼になると考えます。
Comments