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開発方針の変遷 ベクトル・メイク ③

執筆者の写真: adminadmin

【内容】

  1. 都市開発の変遷

  2. 開発コンセプトの変化

  3. 都市開発5.0におけるコンセプトの方向性

 

 

1.都市開発の変遷

私たちは、「都市開発はこれまでに五段階の変遷を経ている」と考えています。

以下で整理します。

都市開発1.0:建てれば売れた時代:戦後復興から1970年代の高度成長時代は、とにかく旺盛なニーズに対応していれば良い時代でした。

都市開発2.0:マーケティングの時代:1970年代後半になると、商業施設やオフィスの市場に、競合と地域格差が生まれ、市場調査を踏まえた都市開発が必要になってきます。

都市開発3.0:デザインなど付加価値の時代:1980年代後半のバブル期には、機能の充足を踏まえて、デザインなどの「付加価値による差別化」が重視されるようになります。海外デザイナーを起用するようになるのも、この時期です。

都市開発4.0:コミュニティなどの時代:バブル崩壊後の低迷期を経て、地域経済の起爆剤として都市再開発での規制緩和が唱えられ、コミュニティや都市競争力強化など多様な価値提供が模索されるようになります。

そしてコロナ禍を経た価値転換です。

都市開発5.0:ハイブリッド開発の時代:オンライン1stを前提にして、「リアルな都市の価値とは何か?」が問われる時代になっています。

 

2.開発コンセプトの変化

都市開発の変遷に対応して開発コンセプトも変化してきました。

「建てれば売れた時代」には、開発コンセプトなど必要なかったと思います。

そして「マーケティングの時代」であれば、市場調査や競合分析をした上で、マーケット・ポジショニングを提示すれば、よかったのではないでしょうか。

「〇〇なマーケット特性だから〇〇を作る」というポジショニング思考での開発コンセプト提示です。「付加価値の時代」も基本的には、成長経済におけるポジショニングによる差別化ですから、同様の思考だったと推測します。

それに対して1990年代後半以降の成熟社会化で、基本的なニーズが満たされてくると、明確な成功モデルが見出しにくくなり、都市開発に伴う多様なステイクホルダーとの合意形成できる開発コンセプトが重要視されるようになります。

ただそれでも都市再生特区などで「容積緩和」というゴールに向けた方策としての合意形成だったと言えます。

それが、コロナ禍を経てオンライン1stを前提にすると、「容積緩和」による都市開発の巨大化が、それほど意味を持たなくなりつつあります。

これが今日の開発コンセプトを取り巻く状況だと考えます。

 

3.都市開発5.0におけるコンセプトの方向性

E コマースという新しい競合も含めて、マーケットが飽和状態にある現状では、市場思考で糸口を求めても、答えが見つからない事は明らかです。

都市開発を行う地域の特性や事業主体の DNAを起点にして、その開発からどんなビジョンや提案ができるのか?が価値になるのではないでしょうか。

「〇〇な私たちと共に、〇〇な未来を創りましょう」というビジョン共創型のコンセプトが支持を得やすくなってきると考えます。

東京ミッドタウンの「ジャパン・バリュー」や,TokyoTorchプロジェクトの「想いをつなぎ、未来を灯す街」などが事例として挙げられます。

コンセプトのメーセージの複層化に伴い、関係者に的確に伝達するために、コンセプトも単にキーワード提示ではなく、それを補足する言葉とともに、戦略ストーリー型への変化が求められます。 

着目点を示し、方策やプロセスを示し、その成果として得られるゴールを共有する必要があるのです。

「〇〇をこう活かすと〇〇になって、〇〇なゴールに辿り着く」という起承転結を示すことが有効です。

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