【内容】
1.防災施設の建造
2.減災という発想
3.協働の重視
防災まちづくりとは、災害に強い地域社会の形成に向けた取り組みを指し、
ハードとソフトにわたって、下記のような特徴を持ちます。
1.防災施設の建造
防災としてまず考えられるのが「防災施設の建造」です。
想定される河川の氾濫や津波などに対応して、物理的な防災策を講じるための公共事業で、具体的にはダムや堤防、防潮堤の建造があります。
過去の災害をもとにして、岩手県普代村では高さ15mの水門が建設され、洋野村の防潮堤の高さは12mに達していました。
「過剰だ」と言われたこれらの防災施設が、2011年の東日本大震災での大津波から、住民の命を守ったことは有名です。
甘い津波予想に基づいた対応が、事故の原因とされる東京電力の福島第一原発に対して、東北電力の女川原発は、設計段階から津波を重要課題であると認識し、敷地高さが海抜14mに設定され、東日本大震災の津波被害を免れています。
このように「防災施設の建造」は重要なのですが、その実現には、多額の費用が必要で、広い範囲での適用は難しいのが実情です。
2.減災という発想
そこで想定される方針が「減災」です。
これは、被害が出ることを想定した上で、被害を最小化しようとする取り組みです。
防災拠点の設置や防災公園の整備、延焼遮断帯の整備などを行う都市計画手法として、
防災街区整備事業や防災公園街区整備事業などがあります。
そのほかにも、建物の耐震強化、避難経路の確保(狭い道路の拡幅や行き止まりの解消)、ブロック塀の生垣化などが挙げられます。
一方で「減災」を実施するには、民間施設の改良が必要で、助成金などによる促進を図るにしても、幅広い市民の理解と協力を得るため、息の長い取り組みが不可欠と言えます。
3.協働の重視
このような状況で、重要になるのが「協働」です。
災害の対応は、自ら対応する「自助」、ご近所などの共同体で助け合う「共助」、そして消防や警察、自治体に助けてもらう「公助」の3つに区分することができます。
市民と行政との役割分担が進んだ現代では、日常生活で「公助」に依存してしまう傾向が強く、災害時にも「公助」が機能することを、想定してしまいます。
しかし災害が大規模で深刻な被害が出るほど、「公助」の機能は低下すると認識すべきです。
特に瞬時に大量の被災者が出る「地震」の場合は顕著で、阪神淡路大震災では、家屋の下敷きになった16万4千人のうち、12万9千人(約80%)が自力で脱出(自助)し、2万7千人(約16%)は近隣住民による救出(共助)で、警察・消防・自衛隊による救出(公助)は7,900人(約4%)に止まっています。
しかも、近隣住民に救出された人の8割が生存できたのに対し、警察などによって救出された人の生存率は5割だったということです。
このように防災においては「公助」の限界が顕在化し、「自助」「共助」を重視する必要があります。
このような状況を踏まえて国交省は、2012年に「防災都市づくり計画策定指針」を策定し、各地方公共団体が主体的に行う防災都市づくりの計画の策定・見直しを促しています。
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