コロナ禍を経てユーザーの購買行動は、慎重・賢明になっています。コロナ前にくらべて日用品(+8,3pt)、耐久消費財・趣味嗜好品(+8,0pt)、高級品(+10,4pt)ともに、複数のものを比較し、じっくり検討して購入すると言う調査結果になっています。(コロナ禍前後の消費者行動・心理の変化に関する調査:ブライアリー&パートナーズ)
身の回りの暮らしと向き合う時間が増え、身近な生活の中で豊かさを感じられる「手触り感」が重視されるようになりました。また都心への通勤機会の減少から、「他人視点・他人軸」に伴う消費からの解放も、影響要因として考えられます。
さらに商品やサービスの購入時に重視する要因としては、口コミを含めたネット情報が挙げられ、より詳細に比較検討する姿勢が読み取れます。
顧客接点において、より一層「本質と信頼」が求められるようになるのではないでしょうか?
一方 事業者側では国内の EC サイト・ネットショップの総稼働店舗数が、400万店を超えています。その半数以上が BASEやSTORES などに代表される、インスタントECによって開店した独立系ショップです。リアル店舗のように商圏など関係なく、ネット上には無数の競合がひしめき合っている状況です。
もちろん各社とも作り手のこだわりやブランドの世界観をアピールしていますが、スマホ画面の中だけでの、差別化は非常に難しそうです。リアルとオンラインでの体験における差別化ポイントを比較してみると次のようになります。
【リアル外食体験】
商品そのもの:有名だから、美味しい、珍しい
価格・価値:高いだけのことはある、安い、コスパが良い
店の雰囲気:入りやすい、居心地が良い、おしゃれ
接客態度:スタッフが気さく、丁寧な接客、距離感がちょうど良い
【オンライン体験】
ブランディングが確立されたデザイン
制作風景などの商品のこだわりがわかるコンテンツを用意
商品が生活に溶け込んでいるイメージ
季節のイベントに合わせたアピール
商品購入から生まれたお客様エピソード
オンライン体験が好きな世界を深められる反面、差別化ポイントはコンテンツ(商品)関連に偏っています。それに対してリアル外食体験では、店舗環境や接客サービスなど幅広いポイントでの差別化が可能になります。
この大競合状態で最も課題になるのは、自社サイトへの集客で、オンライン広告のコストも高騰し、リピート客の維持も大変です。大多数のお客様は資本力に勝る「大手」サイトに流れがちと言う傾向です。パルコ役員の林直孝氏のコメントによると「結局 一番コスパの良い集客策はSC への出店になる」と言う状況になっています。
このあたりに「リアル店舗」の役割と機能とが見えてくると考えます。
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