コロナ禍を経たニューノーマルの購買システムは、従来のようにリアル店舗を中核にして、送客手段をWebサイトが分担する、という形ではなくなりつつあります。むしろ最終購入はネットショップになる可能性が高く、店舗は、SNSや広告などとシームレスに連携する「ニューノーマルの購買システム」の一翼を担うことになると考えます。購買システムの主役のシフトです。
買い物の根源的ニーズは①便利に入手したい(キャッシュレス決済、宅配便)②失敗したくない(試着、口コミ)③教えて欲しい(店員相談、レコメンド)④楽しみを加えたい(ウインドウ・ショッピング、ポイント付与、投げ銭)だと言われます。(ローランド・ベルガー調べ)
シームレスな購買システムとして、①②はオンライン販売が担い、③④はリアル店舗が対応するという役割分担になるでしょうか。
デジタル技術の進展に伴い①②の精度は向上し、慎重になるユーザーニーズにきめ細かく対応可能になります。
リアル店舗においても、「単に商品があるから、スタッフがいれば良い」という以上の顧客体験ニーズを覚悟すべきです。対応すべき機能は、次の3点になります。
ブランド体験:ブランドの価値観や世界観を、没入感のあるリアルな環境やスタッフのホスピタリティ、さらには飲食などの多様なサービス要素で表現する必要があります。
コンテンツ体験・手触りや風合いを始め、試着・フィット感の確認。さらには相談・アドバイスできる体制が必要です。
コミュニティ体験:ユーザーを対象にしたセミナーやイベント。ファン同士のコミュニティ交流会などによる帰属感を高揚する施策が必要です。
もう店舗は、商品を売る場所ではなくなります。「店」から「見世」への発想の転換が必要です。
さらに超・成熟社会化に伴う人々の承認欲求の高まりは、もはや消費では満たされなくなりつつあります。人は「いいね」と「フォロワー」を求めるために手間とコストを掛けるようになっているのです。
西野亮廣氏が「作り上げた料理を提供するレストラン型から、様々な食材を自分好みに料理して楽しむバーベキュー型が価値を持つ時代。お客さんに質の高い発信をさせてあげられるエンタテイメントが必要だ」と言うように[共創価値:プロセスエコノミーの時代]の到来です。
99.996 %はスルーされる情報洪水の中で、自分ごと以外の情報はスルーされる時代です。従来のように認知すれば購入するわけではなく、少なくとも「共感」が必要で、さらには「参画・共創」を通じて購入欲求を高める施策が求められると考えます。
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