「顧客接点」とはマーケティング用語で、企業やお店などが顧客と関わる「場所」や「手段」と定義されています。タッチポイントやコンタクトポイントとも呼ばれますが、具体的に言うと、宣伝・認知する接点と販売・購入する接点の2種類になります。
1970年頃の高度成長期までは、顧客接点は非常にシンプルで、企業がマス広告をすれば、お客は購買欲を刺激され、お店で商品が売れていました。
成熟社会化が進行し、購買動機が複雑になり、通信販売やネットショップなどの新しい購入手法が生まれると、様々な宣伝・認知及び販売・購入の接点が生まれました。
さらに現在はオムニチャネルと言われ、店舗はもとより、パソコン及び SNS経由でのネットショップなど、宣伝、販売経路も顧客接点共に、非常に多様化・融合した状況になっています。
一番極端な例では、SNS(インスタグラム)で良いと思った商品をポチると即購入という状況にもなっています。
今回のコロナ禍に伴い、「非外出&非接触」の行動変容が進行し、従来はリアル店舗に足を運んでいた中高年層を含めて、ネットショッピングに大きくシフトしました。ハイブリッドワークで都心への通勤者数が減り、行動変容はなかなか元に戻りそうにありません。【顧客の量】が変わりました。
さらに外出機会が減ることで、お洒落への関心も変化したかも知れません。パンデミックを機会に本当に必要なもの、大切なものを問い直す機会になったようです。「無くても大丈夫なもの」に結構気づいてしまったのではないでしょうか。【顧客の質】も変化したのです。
このような【顧客の量と質の変化】に伴い、都心の商業施設は来店客数及び売り上げを、大きく落とし、苦境が続いています。
「リモートワークなんてまだまだ先の話」と言っていたオフィスビル事業者と同様に、商業施設事業者も早急に戦略の見直しを迫られています。
単に店舗をキャッシュレス化する、ネットショップを充実させる、などの単発施策では解決できる問題ではなさそうです。
ネットショップか?リアル店舗か?の区別は顧客(ユーザー)には関係ありません。
たまたま SNSで気に入ってECで購入したり、家具を買うときにはサイズを確認するために、化粧品は肌に合うか?を確かめるためにリアル店舗を訪れます。
これまで顧客接点の主役を自認してきた「リアル店舗の価値」が、根本から見直す必要があります。
「小売業が【つながり】というものが如何に脆弱なものであったかを痛感すべきだ」というコメント(オイシックス・ラ・大地:奥谷孝司氏)も説得力を持つようになりました。
【顧客の量と質の変化】に伴い、分断された顧客接点を再構築する必要があります。
どのように顧客にアプローチし、どのように購入につなげるのか?楽しい買い物体験には何が必要か?が問われています。今シリーズは、「顧客接点の視点」で店舗のあり方を検討します。
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