【内容】
立ち寄り場から「プチ目的地」へ
駅の「半」公共性
事業プラットフォームの必要性
1.立ち寄り場から「プチ目的地」へ
コロナ禍を経て、ライス付タイルは大幅に変化しました。
オンライン会議がすっかり定着しましたし、呑み会の数もメッキリ減りました。
会社への通勤も前提では無くなりつつあります。
フルリモートは少ないものの、会社への出社は週2−3日という、融通が効くハイブリッド勤務が定着してきたのではないでしょうか。
「どこででも働け、どこにでも住める時代」になりつつあります。
これまでは、通勤利用者の立ち寄り利用を前提に、時短という訴求ポイントで、日常生活サービスを支援してきた駅ビルも、住民の「プチ目的地」としての機能と環境とを備える必要に迫られています。
たくさんの人たちを、出来るだけ円滑に誘導する「大きな通路としての駅」から、色々な人たちが、気持ちよく滞留できる「大きな広場のような駅」への進化が求められています。
2.駅の「半」公共性
これまで鉄道会社は、鉄道を中心として、住宅開発や二次交通の運営はもちろん、流通事業、教育、医療など、総合生活産業コングロマリットとして発展してきました。
鉄道会社の人たちは、冗談半分に「自分たちは、地域から逃げることができない」と言います。
一般の事業会社と異なり、業績が思わしくないからと言って、「その地域から撤退する」訳にいかないという意味です。
ある意味で「地域と運命共同体」だと言え、共存共栄を目指さざるを得ない事業者なのです。
鉄道会社は、地方自治体の運営にも大きな影響力を持つ地域の大地主であり、現代版の「街の当主」と言える立場ではないでしょうか。
特にその中核である「駅」は、公共施設ではないけれど、街の中心にあり、誰でもが利用できる「半・公共スペース」で、「事業性」と「公共性」とのバランスが求められます。
3.事業プラットフォームの必要性
駅係員の合理化には限界があり、通常時に駅業務に加えて、別途収益事業を捻出する必要性については先述しました。
これを踏まえて、駅係員に「働き方改革」として、従来の駅業務を軽減し、「企画業務」の試行を図る鉄道会社が増えています。
街歩きなどの観光企画や、周辺の街と連携したイベント開催など、地道な活動を試みていますが、なかなか成果が得られないのが実情ではないでしょうか。
これまで「定型業務」をしてきた人間に、いきなり「新しい事業を企画し、収益を上げなさい」と、指示しても無理というものです。
「i-phone」という情報インフラをみんなが持つようになって、そこに「AppleStore」というプラットフォームが搭載され、「集客」も「決済」もワンストップで行えるビジネス構造があるから、それを活かして、さまざまなクリエイターたちが「多彩なアプリ」を開発して収益化できるのです。
「i-phone」も「AppleStore」もない状況で、アプリ開発だけをしても、ビジネスとして成立しないのと同様です。
企画業務の指示とともに、駅の特性を活かして、「こうすれば稼げるよ」という、「次世代業務のプラットフォーム」が、必要ではないでしょうか。
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