【内容】
AR実践例での検討
ユーザーの「ハマるマインド」の必要性
フックとしてのリアル・アイコンの必要性
1.AR実践例での検討
私たちの研究会で、AR関係企業などの実践者を招き、現状でのARコンテンツの実践例で、その可能性を検討した事があります。
飲み屋横丁の事例:飲み屋横丁を舞台にして、路地を歩いていると、お上さんの声がけやおすすめメニューなどが、表現される映像です。
リアルで店内を覗くのは、勇気が必要ですから、非常に有効だと評価されました。
※シャッターの降りた地下街を舞台にして、物陰からゾンビなどが飛び出してくるような、お化け屋敷も面白そうだと言う意見が出ました。
ショッピングモールの事例:一方で、ショッピングモールの共用部を舞台にして、若手アーティストの作品を展示したり、吹き抜けを活用した水族館などの事例では、リアルな場所とARコンテンツとの脈絡が見えないため、視聴までの多段階のハードルを越えることは、難しいのではないかという意見でした。
Vtuberのライブステージの事例:Vtuberのステージが、リアルに用意され、そこでライブが行われるのであれば、 ARでしか視聴できないVtuberを見るために、デバイスを起動する必要性は、理解できるという評価でした。
その他、渋谷の街を背景にして、クジラやキャラクターが、浮かび上がる ARコンテンツもあり、演出としては面白いですが、その内容でのマネタイズは、難しそうだというのが、参加者の共通認識でした。
これらの検討を踏まえて、AR技術の活用に向けて、二つの条件を設定します。
2.ユーザーの「ハマるマインド」が必要
第一の条件は、ユーザーの「ハマるマインド」が必要だということです。
AR体験を楽しむには前述したように、ユーザーの能動的なアクションが求められ、そのためのマインド・シフトが必要なのです。
ディズニーランドのゲートを潜ったときに、「よーし、ミッキーと遊ぼう」と言うマインドに似ています。
この「ハマるマインド」があるから、レストランにミッキーが現れると、ハグしたり、一緒に写真を撮ろうとしますし、案内板などの表示に「隠れミッキー」を探そうとします。
例えミッキーマウスほどのキラーコンテンツであっても、平日に丸の内のオフィス街を歩いていれば、人が遠巻きに見てしまうのではないでしょうか。
飲み屋街をブラつくときに、「よーし、どの店で飲もうかな」という気持ちがあるからこそ、 ARアクションを通じて、店内の様子やおすすめメニューを知ろうとするだと考えます。大切なのは、ユーザーの「ハマるマインド」づくりなのです。
ディズニーランドで、ミニーのヘアアクセサリーをつけて楽しむように、ベネチアのカーニバルでは、参加者が「マスケラ(仮面)」をつけています。
マスケラを付けることによって、日常とは違う自分に変身できるのです。
これに倣って、マスケラにARグラスが、仕込まれていて、それで AR体験が楽しめるようなシチュエーションが、面白いのではないでしょうか。
3.フックとしてのリアル・アイコンの必要性
第二の条件は、 ARコンテンツへの導入フックとして、リアルなアイコンが必要だということです。
やはりAR コンテンツは、デジタル上の演出であり、「AR単体ではインパクトに欠ける」という認識が,だと前提になると考えます。
何もないところから、「AR上に何かがある」程度では、ワザワザ視聴する行為を促すことは、難しいということです。
視聴までのハードルを考慮すると、リアル世界に「プチ・テーマパーク的な世界観」があって、そこをフックにする必要性を感じました。
「ボケモンGO」は、ARコンテンツの成功事例として取り上げられるますが、コンテンツの強力さが別格で、一般解としては、コンテンツに頼りすぎない演出スタンスが必要ではないでしょうか。
商業施設の「どの部分で、どんな用途で」AR技術を活用していくべきなのか?を見極める必要がありそうです。
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