私たちは Beyondコロナ時代に最も「街づくりニーズ」が高まるのが郊外部(郊外都市駅前)と考えています。
これまでは通勤の中継地としか認識されず都心へ「○分」と いう時間距離の評価一辺倒でしたが、リモートワークが定着しつつある社会では、会社 ファーストの立地評価ではなく「生活ファーストの街」としての認識が高まると考えま す。
と同時に「どこに住むのか?」の自由度が高まる社会でもあり、人口減少ニッポン においてそれぞれの街が住⺠集めにしのぎを削る街間競争の時代でもあります。
あらゆる街に住⺠さらには企業からの「選ばれる街」戦略が不可欠になるのです。
「住⺠から選ばれる街」戦略
郊外部におけるペルソナとして[35歳女性/時短勤務正社員/会社員の夫/保育 園の息子あり]を想定すると、週3日の駅前サテライトオフィス出社により通 勤時間(往復2時間)を家事や自分時間に有効に活用可能なライフスタイルが浮かび上がります。
従来の通勤ベッドタウンとしての街に求められてきた「生活利便性: 住みやすさ」だけでなく、生活時間の大半を過ごす場所として「生活舞台性:暮しごたえ」が求められると考えます。具体的には下記の3点を想定します。
(1)サテライトオフィスとしてのワーキング環境
「在宅疲れ」という言葉が生まれるように、大多数の住環境が在宅ワークに十分な平 佐や設備を確保できている訳ではありません。
仕事モードへのスイッチを入れる為にも 適度な移動は有効であり、駅周辺に週2〜3日活用できるサテライトオフィスが必要に なってくると考えます。
しかも従来のフリーランス想定のコワーキングスペースとは異 なり、セキュリティや福利厚生面で「法人契約への対応水準」を満たせる新たなワーキ ング環境が必要になります。
(2)外出、街歩き対象になるプレイング環境
自粛期間中に自宅周辺で外出、街歩きをした人たちから「もう飽きた」という声をよ く聞きます。
住宅ばかりで駅ビルとその周辺のチェーン店程度しかない単調な街構造を 痛感したのです。
街の滞在人口及び滞在時間が大幅に増える Beyond コロナ時代には、ランチ対応だけでなく「アフター5対応」のダイニングや「ホビー&カルチャー志向」 を満足させる専門店など目的性と多様性を兼ね備えた商業ニーズが高まります。
ビジネ ス需要の減少で都心から移転してくる事業者の受け皿になり、個性的で魅力ありプレイ ング環境が形成可能だと考えます。
(3)表現、交流機会を提供する知縁コミュニテイ環境
ベッドタウンの認識でしかなかった街のつながりは子供を介したママ友程度でしたが、日常の大半を過ごす生活舞台になると様々なつながりが模索されます。
町内会などの地 縁よりも、健康や趣味、好奇心などを軸にしたつながり(=知縁コミュニティ)が求め られるのではないでしょうか。
シブヤ大学のような知縁のプラットフォームが用意され ると様々な活動の起点になっていくと考えます。
「企業から選ばれる街」戦略 従来のようにとにかく都心の一等地にオフィスを構えることや分散していた企業オフィスを一箇所にまとめることが、企業価値の向上に寄与するという認識 が薄れるBeyondコロナ時代は、企業にとっても拠点を置く街の評価指標は交 通利便性や単に都心に比べた家賃の割安感だけではなくなると考えます。
企業の事業価値に直結する「事業舞台としての街」評価が求められます。
具体的には 以下の3点を想定します。
1:街イメージとの相乗効果が期待できるブランディング価値 エスタブリッシュな丸ノ内・大手町をはじめ新宿、渋谷、六本木など東京都心の ビジネス街は独自の街イメージを持っています。
楽天が拠点を置く二子玉川や 中野のキリン本社ように街イメージを牽引する例や LINE の京都開発拠点が 外国人エンジニアの採用に有効だという事例もあります。
「どこででも働ける時 代」には交通利便性だけではな句、企業イメージと相乗効果の期待できる街のア イデンティティがオフィス立地の選定指標になると考えます。
2:様々なトライアルの協働が期待できるイノベーション価値 事業舞台としての街を評価する場合には、企業が様々な実証実験を行う際に行 政及び住⺠が好意的に協働してくれるのか?社会での検証・評価の場が用意さ れているのか?も重要な視点です。
渋谷区や福岡市のように様々な企業アライ アンスや実証実験のプラットフォームづくりに積極的な街の姿勢がこれからの企業誘致には求められると考えます。
3:ワーカーのライフスタイル満足度の向上が期待できるリクルーティング価値
ワークライフバランスが常識になったBeyondコロナ時代においては、上質なライフスタイルを提供できる街環境もリクルーティング価値として重要です。
内容は「住⺠に選ばれる街」に準拠します。
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