検索
  • admin

CAMPUS2.0 ④ 時代が求める知性への対応

時代が求める人材や知性に対応しようとする動きもあります。東京大学の2019年入学式での上野千鶴子東大名誉教授の祝辞は「女子学生が置かれている現実」の部分が注目を浴びましたが、後半の「(東京)大学で学ぶ価値」の部分を評価する声も多いのです。「大学で学ぶ価値とは、既にある知を身につけるのではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知(メタ知識)を身につけることだと確信している」という内容です。ただの知識量を競うのであればスマホやパソコンにでも任せればいい訳で、世界中のデータベースにあるデータや情報などを有機的に結びつけ、新しい価値を創出する「メタ知識の獲得」こそが重要だということです。一般的な講義はデジタルコンテンツとして収集、伝授すれば事足ります。「正解のないテーマ」に挑み、教員とともにマンツーマンで徹底して考え抜きながら、研究して、論理的思考能力を鍛え、新しい価値を創出するための、情報の選択と編集などの方法論を学ぶ場、知力を鍛える場こそ大学の価値と言えるのではないでしょうか。

また2022年度からの高校教科書改訂では、社会科を例にとると、暗記ではなく考える授業が導入されるようです。「公共」という教科では、社会課題を題材にステイクホルダー同士の板挟み状態や想定外の状況変化などの問題を考えるプロセスがあるようです。外野から文句だけをいう人を減らして、答えのない問題を逃げずに向き合う人をリスペクトできる、ステイクホルダーの立場を理解し、応援できる人材を育てる事が狙いのようです。今回のコロナ禍を経て、現実社会において命を守ることと経済を回すことの二項対立が、如何に難しいのかを誰もが痛感しました。もちろん正解などわからないかもしれませんが、高校時代の社会科教育で、人間社会が過去から現代まで、どのように対立・紛争・協調を繰り返してきたかを学び考えることは、非常に有益ではないでしょうか。

教育を取り巻く環境は、保守的な視点と革新的な試みとがせめぎ合いながら、極めて少しずつですが、方向転換が図られようとしていました。そんな時にコロナ禍が起こり、オンライン授業が強制されるのです。


最新記事

すべて表示

共感人口の参考になる関係人口の創出方策については、明治大学の小田切徳美教授によって「人」、「場」、「仕組み」の観点から整理されています。 「人」は地域の人と関係人口を結びつける役割を果たす「関係案内人」や中間支援組織等のことで、拠点の場所に関わらず都市側及び地方側の両方の視点を持ち、地域を客観的な視点でみることが可能な人であり、偶発性を装いながら必然性をデザインする場の「編集人」とされています。関

共感人口の参考例として関係人口の規模感について整理します。2021年にブランド総研が行った関係人口の意識調査によると、都道府県で最も関係人口が多いのは福島県で1229 万人となりました。これは福島県の居住人口(約 182 万人)の 6.8 倍にあたります。次いで沖縄県の 950 万人、北海道の 756 万人と続きます。この調査では関係人口は大きく 2 つの層から構成されると定義されています。ひとつ

都市における「共感人口」を検討するために、そもそもの関係人口の定義や規模感、創出施策を整理します。 関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、「地域や地域の人々と多様に関わる人達(人口)」を指します。2016年に雑誌「ソトコト」編集長の指出一正著「ぼくらは地方で幸せを見つける」、2017年の田中輝美著「関係人口をつくる」などで提唱された概念です。2017年には総務