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有楽町アートアーバニズム(Y A U)の挑戦:アート街づくり ⑤

執筆者の写真: adminadmin

一連のアートプロジェクトとは異なる文脈でのアート街づくりの事例として、三菱地所が有楽町エリアで展開するプロジェクトの背景と目的について整理します。

【内容】

  1. 三菱地所の危機意識

  2. 都市型の関係人口づくり

  3. 街全体をオープンイノベーションの場へ



1.三菱地所の危機意識

三菱地所は大丸有(大手町・丸ノ内・有楽町)エリアで、大規模な再開発を推進し、次世代のビジネス街づくりを先導してきました。エリア内で所有するビルの建て替えに当たって、路面店を誘致したり、環境共生組織「エコッツェリア協会」を設立したり、大人の遊び場「松の内ハウス」を設けたり、丸の内仲通りを「公園」の様にする「丸ノ内ストリートパーク」の社会実験を継続するなど、様々な工夫をしてきました。

そんな三菱地所が、「従来通りの発想や人材では、世界のビジネス街と競走できない」という危機意識から生まれたのが、「有楽町アートアーバニズム(以下YAU)」です。

有楽町のビル建て替えまでの暫定期間を活用し、アーティスト・イン・レジデンス施設やアーティスティックなコワーキング施設を設け、アートとビジネスが互いに価値を高め合い、世界へ発信することを目指しています。


2.都市型の関係人口づくり

「現在の大丸有の就業者数は約28万人で、オフィスに席があり、コロナ前には毎日出勤していた人たちです。NEXTステージでは,1週間に数時間だけ来る人なども含め、大丸有に関わる人を100万人にしようと考えています。」三菱地所プロジェクト開発部有楽町街づくり推進室統括:山元夕梨恵氏のコメントです。

そのための仕掛けとして、以下の3施設を整備しました。

  1. 「有楽町 SAAI wonder working community」アイディアが形になる場所

  2. 「micro FOOD&IDEA MARKET」アイディアが試され磨かれる場

  3. 「ソノアイダ#有楽町」アーティストの活動の場

目指すのは、就業人口でも来街人口でもなく、繋がり・役割のある居場所にすることで、自分の意思でやりたいことがある人たちが来たいと思える街にする事(=都市型の関係人口づくり)です。


3.街全体をオープンイノベーションの場

これまでのオフィスが「固定された自席で仕事をする場」で、オフィス街がその集合体だったとすると、「それを流動化し、これまでオフィス街とは無縁だった人達まで巻き込んで新しいアウトプットを生み出そう」としています。

「今ある仕事以上のビジネスを生み出すオフィス街」を目指しています。

そのために「境界、壁を無くし、内と外とを曖昧」にする、そして「アーティストが常にいる状態」を作り、様々な出会いや交流を促し、クリエイティブや発想をまちづくりやビジネスに活用(=オープンイノベーション)しようとしているのです。

有楽町アートアーバニズム(Y A U)とは、アートの力で「街全体をオープンイノベーションの場」にする挑戦と言えます。

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