都市づくりの重点施策として「公園の利活用」が注目されています。さまざまな地方自治体でPark-PFI (以下 P-PFI )事業が起案・実施されていますが、その意義や事業構造には課題も多そうです。
豊島区の「南池袋公園」が、成功事例として取り上げられますが、鬱蒼とした樹木を整理し、明るい芝生広場とカフェを整備すれば成功できるわけではありません。南池袋公園は、池袋というターミナル駅から300メートルという立地に、約8000㎡の大部分を占める芝生広場と、地元の人気店「ラシーヌ」の誘致、そして何より地元の「としま会議」を母体としたコミュニティ型運営主体などの好条件が重なった結果といえます。[集住立地]×[整備規模]×[魅力収益施設]×[コミュニティ運営]の四拍子が揃った事例は稀ではないでしょうか?
従来の「公物管理」のスタンスから、指定管理者制度やP- PFI制度などの導入を経て、確実に利用しやすくなりましたが、この傾向がエスカレートすると「ショッピングセンターの中庭」のようになってしまうのではないか?と危惧してしまいます。運営手法の工夫だけでなく、コロナ禍を経た「都市公園の意味と価値」をもう一度見直す必要があるのでは無いでしょうか?
公園の定義は「公衆のために設けられた庭園や遊園地」とされます。またその価値についても自然景観の保全育成、環境、防災的な「存在価値」と、公衆の休憩、レクリエーション、教養・文化活動機会の提供などの「利用価値」とに整理されていますが、極めて曖昧です。
コロナ禍でオンライン1stの感覚が定着し、従来のように都心通勤を前提にした商業・業務機能が見直しを迫られています。都市そのものの存在理由が問われる時代になり、都市の求心力の重心は「働・生産」から「遊・文化」に移行しつつあるのでは無いでしょうか?都市公園は劇場など都市型エンタテイメント施設などと共に、都市の魅力の中核を担うようになると考えます。従来の「緑化・憩い」だけでなく、未来の都市公園の価値やあり方について根本的な見直しが必要ではないでしょうか?
コロナ禍を経てオープンエア・ニーズは高まり、グランピングの流行に見られるように、上質な屋外アクティビティ環境が求められていることは確かですが、P-PFI方式の導入だけでは、解決しそうにありません。
このシリーズでは都市公園の現状と歴史的変遷を振り返った上で、次世代の都市ニーズを踏まえた都市公園の未来イメージを考察します。
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