top of page
検索

街まるごと福利厚生:「会社×都市」2.0 ⑨

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2023年3月17日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 街まるごと福利厚生とは

  2. 街パスポートによる活動創発

  3. 福利厚生施策としての生業



1.街まるごと福利厚生とは

福利厚生とは、簡単に言うと「会社が提供する従業員向けのサービス」のことです。

労働人口の減少に歯止めがかからないと同時に、ワークライフバランスへの関心の高まりを受け、どのように優秀な人材を獲得・定着させるために、多くの会社が福利厚生制度の充実に力を入れています。

(法定外の)福利厚生には、住宅や慶弔、医療などの基本的なものから、健康、自己啓発、レクリエーションなど多岐にわたりますが、費用の多寡だけでなく、サービスの魅力を可視化するために、「街まるごと福利厚生」化してみてはどうでしょうか。

都市部における「リソース」と「ニーズ」とを「西新宿」を例に検討してみます。

まずリソースとして①日本有数のビジネス街で20万人のレガシー企業のワーカーがいます。②平日9時〜17時オフィスアワーしか利用されず、夜間や土日は未利用のオフィススペースがあります。③加えて当該エリアに点在する美術館やシネマ、寄席、生活関連企業のショールーム、各種学校、文化施設など多彩な都市機能があります。

一方でアンケートによると西新宿の街は、ワーカーが「平日9時〜17時に働くための街」でしかなく、もっと公私ともに多様に活用し、街にも愛着と誇りとを持てるようになりたいというニーズがありました。

これらのリソースとニーズとをマッチングすることで、「街まるごと福利厚生」化できないでしょうか。


2.街パスポートによる活動創発

街の多彩なリソースを活用し、ワーカーのウエルビーイングを向上させる総合サービス「街パスポート」です。

サブスク定額制で対象エリアにおける「ON/ OFF」ライフの質を高めたり、視野を広げたりする「深化/探索」活動を支援します。

具体的にはお互いのビジネスに役立つ人同士のマッチングやサロン開催、街じゅうに点在する様々なバリェーションの集中スペースの利用、多彩なオープンスペースを使った健康づくりやチームビルディングプログラムなど地域のワーカーが、「街を使い倒す」ツールが用意可能です。

その効用としてワーカーの大幅な生産性の向上や、自分時間の充実、仲間づくり、気軽な副業参加など、公私に渡り当該エリアで過ごす時間が多彩に楽しめるような活動創発を実現します。


3.福利厚生施策としての生業

さらにストレスフルな日常をバランスさせるための、福利厚生施策として、オープンスペースを活用した「生業型のサブシステム」は考えられないでしょうか?

既存のキッチンカーのように「弁当販売」に特化するのではなく、「クラフト(自家製)」をコンセプトにしたモビリティショップです。自分の「好き」を起点に、スキ仲間同士で、服飾、雑貨やアクセサリーから各種アート作品、工芸品などの移動販売や各種ホビー教室や占いサービス、趣味サークルの発表会などが開けると素敵です。

達成感や対面的な充実感を充足させる接客活動は非常に有効です。

日本独特のコミュニティであった、「社縁」「社用」ニーズの崩壊した後の、新しい都市型コミュニティが生まれるかもしれません。

「街まるごと福利厚生」とは、「都市」の多彩なリソースを「会社」が有機的に活用する方策なのです。


 
 
 

最新記事

すべて表示
方策2:共体験アーカイブ&データ還元 共体験デザイン ⑦

【内容】 第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 第2章 共体験アーカイブの具体的要素 第3章 効果測定と都市開発への意義   第1章 共体験アーカイブ & データ還元の基本発想 都市は単なる建築物や交通の集積ではなく、人々が日常やイベントを通じて共に体験し、その記憶を積み重ねていく舞台です。 近年の都市開発では、この「共体験」をどのように記録し、再提示していくかが重要なテーマとなって

 
 
 
方策1:共体験広場 共体験デザイン ⑥

【内容】 第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 第2章 共体験広場の具体的なデザイン要素 第3章 効果測定と広場の価値創出   第1章 共体験広場プログラム化の基本発想 これまで広場や駅前空間、商業施設の共用部は「人が集まる場所」として位置づけられてきました。しかし近年の都市開発においては、単なる集客空間ではなく「人が共に過ごし、体験を分かち合う場」への転換が求められています。 言い換えれば、

 
 
 
基本方針 共体験デザイン ⑤

【内容】 第1章 「共体験デザイン」の視点 第2章 「共体験デザイン」の基本方針 第3章 「共体験デザイン」の具体化方策     第1章 「共体験デザイン」の視点 都市開発において「共体験」を軸にした計画を進めるためには、空間・社会・時間・経済という四つの視点から捉えることが重要です。 ⑴空間の視点 都市の価値は「建物」そのものではなく、「建物と建物の間に生まれる生活」に宿ります。ベンチや段差、可

 
 
 

コメント


bottom of page