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コミュニティの有効性 共創から競創へ ②

更新日:4月18日

【内容】

  1. 成熟社会におけるモチベーション

  2. 「私たちごと」づくりの必要性

  3. コミュニティをつくるビジネスメリット

 

 

1.成熟社会におけるモチベーション

コミュニティの有効性について、主にビジネス視点から整理します。

成熟ニッポンは、「失われた30年」と揶揄され、GDPは560兆円辺りを推移し、デフレが続き、給料も上がらない状況です。

高度成長期のように「3種の神器」やマイホームを買うために、モーレツに働いたり、バブル期のように夜中まで豪遊したりする元気もなくなっています。

今は、消費が一巡し、日々の暮らしで必要なものは揃ってしまい、特に必要な物も見つかりません。 

バブル経済の頃の熱狂は無くなりましたが、極端に貧しくなったという実感も無く、諦めも含めて「こんなものかな?」という空気感が漂っているのではないでしょうか?

そこそこの機能・スペックの商品・サービスが、手頃な値段で手に入るようになり、「日常がコモディティ化」したのが、成熟した日本社会の現状です。

企業側は、そんな成熟社会の生活者に「消費のモチベーション」を持たせるために、あの手この手を工夫します。

「モノ」から「コト」へ、そして「トキ」、「イミ」へと、消費・マーケティングのキイワードを進化させていきます。

 

2.「私たちごと」づくりの必要性

インターネット及びSNSの普及に伴い、世界の情報量は爆発的に増大しました。

2020年の情報量は、40ゼタバイトと言う天文学的な数字だと言われます。

2000年の情報量を「1」とすると、2020年の量は「7000」に相当します。

新聞に例えると、2000年には「1時間」で読めた内容が、2020年には、「約1年間」かかってしまう計算になる訳です。

「99.996%はスルー(竹内薫、丸山篤史共著)」と言う本があります。

進化と脳の情報学を研究した内容で、「0.004%」の自分ごと以外の情報は全てスルーされてしまうと言う内容です。

情報洪水の中で生きる私たちが、身につけた技術が、自分に関係ないと思われる情報は、ほとんどスルーしてしまうと言う報告です。

よく「まちづくり」の現場から「街の情報発信が不足している」という課題を耳にしますが、相対評価ができていないのはないでしょうか。

毎年トヨタ自動車だけで、5000億円近い広告宣伝費と投じています。

そんな膨大な情報洪水の中で、個人のこだわりや手法を羅列して発信するだけでは、どれほど一生懸命に情報発信したとしても、他の担い手との違いも分からずネタ切れし、効果が現れないのは当然と認識すべきです。

いくら情報発信しても、「自分ごと」或いは「私たちごと」ではないと判断されると、全てスルーされてしまっているのです。

 

3.コミュニティをつくるビジネスメリット

コミュニティマーケティングというアプローチの一環で企業が運営する「ファンコミュニティ」を想定して、そのメリットとデメリットを整理します。

 

  1. メリット

  2. 消費者の声を直接聞ける:ファンコミュニティでアンケートを取ったり、どんな商品があったら良いかなど商品開発や改善につながる消費者の意見を聞けます。

  3. ロイヤリティを育てる:ユーザーの声を集め、商品開発や改善に反映することで、好感度がアップし、口コミ拡散も期待できます。

  4. サポートコストの削減:コミュニティでの交流が活発になると、簡単な質問や疑問点など、ユーザー同士が会話の中で解決する事があります。

  5. デメリット 間がかかる:ユーザーコミュニティを構築し、活発な交流や活動ができる状態を作るには時間がかかります。

  6. 担当者のスキル:コミュニティで活発な交流を行うには、コミュニティを管理し活性化させるコミュニティマネジャーが必要です。

  7. KPIが難しい:コミュニティの会員数、投稿者数、イベント参加数を組み合わせてコミュニティマーケティングに取り組むには、短くても一年以上の長期計画が必要です。

 

「コモディティ化した日常」の中で、スルーされずに「私たちごと」として、情報を受け取ってもらうためには、手間はかかるけれど、コミュニティ作りが有効だということです。

 

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