top of page
検索

シン血縁インフラとなる「ワンダー【時感】ミュージアムとしてのお寺:社寺再考 ⑧

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年12月7日
  • 読了時間: 3分

神社で「シン地縁」がテーマになるのに対して、人間の「死」を扱うお寺は「シン血縁」がテーマになると考えます。

【内容】

  1. 「終活」というトレンド

  2. ファミリーヒストリーの効用

  3. カジュアルに死と向き合う




1.「終活」というトレンド

日本では、「死」と言うものに触れる事、考える事自体がタブー視されてきましたが、超高齢社会になり、「終活」が一般化しつつあります。

終活とは「人生の最後に向けて行う活動・事前準備」と定義され、

  1. 今後の介護や医療についての意向、

  2. 亡くなった時の葬儀やお墓に関する事、

  3. 遺産相続、物品整理などを整理する事

で、残された家族や周囲に苦労をかけないと共に、自分が歩んできた人生を振り返り、気持ちの整理をすることで、今後の人生をより充実させる効果があると言われます。


2. ファミリーヒストリーの効用

NHK総合テレビジョンのドキュメンタリー番組「ファミリーヒストリー」は、各界で活躍する人々の父母や先祖が、いかに生き抜いてきたか?を日本国内外や関連人物に取材し、構成する内容です。

番組出演者は、それぞれ自分の思い出の範囲を超えた、家族の生き様とストーリーを目にして、「血のつながり」を実感して涙することが多いのです。核家族化やシングル生活が主流になる現代都市のライフスタイルにおいて、「血のつながり」を意識することは、極めて重要ではないでしょうか。

以前、「ペット」と「子供」との違いを議論したことがあります。ペットも子供も、生後の成長を楽しみ、世話が焼ける事さえ、喜びになり、亡くなった時には喪失感に襲われます。ただ一点「自分の血をわけることの有無」が異なるのです。従って「子育ては、溺愛するだけでなく、自立して生きていける力と伝えるべき価値観が必要」という結論になりました。

自分の生きる時間を、祖先から子孫への流れの中で考える時、日常とは異なる「意味」が見えてくるのではないでしょうか?


3.カジュアルに「死」と向き合う

今春、二子玉川で開催された「END展」は、若者を中心に評判となった展覧会です。

「END=死」を題材にしながら、「死は貴方のそばにいると思いますか?」「生まれ変わりたいですか?」などのシリアスな問いと、「天才バカボン」などのマンガの名場面と重ね合わせることで、カジュアルで有りながら、表層的ではない思考を導き出していたのです。

また田村淳さんが、手がける事業「ITAKOTO:カジュアルな遺言動画サービス」も極めて興味深いサービスです。自分が「居たこと」と青森・恐山のイタコとを掛け合わせたネーミングで、「この世から心残りを無くしたい」と言う思いで、作られたそうです。生前から遺言を準備し、定期的にアップデートできるようにする事で、家族や周囲の人達にも、「緩い覚悟」を醸し出し、継承に関わる苦労を軽減するとともに、自らの生の充実にも繋がるサービスだと思います。


このように、社会に少しずつ「死」と向き合う姿勢が定着してきました。さらに「血のつながり」や、先祖・子孫に想いを巡らせる機会は、近視眼的になりがちな都市生活において、極めて重要だと考えます。

シン血縁インフラとなる「ワンダー【時感】ミュージアム」としてのお寺の役割が見えてくるのではないでしょうか。

 
 
 

最新記事

すべて表示
方策2:人生のアーカイブ 人生観都市 ⑧

【内容】 第1章 人生アーカイブ基盤構築の基本的考え方 第2章 社寺・退職世代を活かした具体的展開 第3章 都市に記憶を実装する社会的意義 第1章 人生アーカイブ基盤構築の基本的考え方 人生アーカイブ基盤の構築とは、人々の人生経験や地域の記憶を、都市全体で蓄積・共有・継承していくための仕組みを整備する取り組みです。 現代都市では、多くの人が豊かな経験や知識を持ちながら、それらが社会に残らないまま消

 
 
 
方策1:人生価値の拠点づくり 人生観都市 ⑦

【内容】 第1章 人生観拠点整備の基本的考え方 第2章 社寺・公共空間を活用した具体的展開 第3章 人生観拠点が生み出す都市価値 第1章 人生観拠点整備の基本的考え方 人生観拠点の重点整備とは、人々が「どう生きるか」「何を残すか」を考え、共有し、継承できる場所を都市の中に戦略的に整備する取り組みです。従来の都市開発は、商業、オフィス、住宅などの機能を効率的に配置することが中心でした。しかし成熟社会

 
 
 
基本方針 人生観都市 ⑥

【内容】 第1章 人生観都市実現に向けた論点整理 第2章 人生観都市を実装するための基本的視点 第3章 社寺・退職者を活かした3つの具体的方策 第1章 人生観都市実現に向けた論点整理 人生観都市を実現するためには、まず現代日本が抱える構造的課題を整理する必要があります。現在の都市は、高度経済成長期に形成された「効率」「生産」「消費」を重視する仕組みの上に成り立っています。その結果、都市は便利になっ

 
 
 

コメント


bottom of page