top of page
検索

ニッポン・シアター⑨ ミュージアム・シアター

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年3月21日
  • 読了時間: 2分

シアターは観劇目的で来場するわけですから、公演日でない時に来場者はありません。インバウンドを含めてスケジュール調整が難しい観光客などの利用者に対しては、常に体験出来る様にしてあげたいものです。シネマコンプレクスのように、時間をずらしながら常に公演が行われていたり、寄席のようにほぼ毎日の昼夜ともにプログラムが組まれているような状況が理想ですが、一般のライブパフォーマンスで実現することは難しいのではないでしょうか。一方で舞台衣装や能面などは、それ自体でも鑑賞価値の高いものですが、衣装や面だけが展示されるだけではなく、役者や公演内容とセットになって初めて真価を発揮するものです。

このような前提に立つとシアター付帯のミュージアム整備が有効であると考えます。もちろん伝統芸能の歴史を展示することも、利用者の理解を深めることに役立ちます。 

劇場全体をミュージアムに見立てた京都南座の試みが参考になるのではないでしょうか。劇場に猿之助歌舞伎の絢爛豪華な衣装の展示が展示されていると、公演の状況が思い浮かびます。また猿之助歌舞伎の歴史や魅力を映像で伝えたり、普段は見る事ができない歌舞伎の舞台裏、大道具を組み立てていく様子、猿之助の隈取りや楽屋の様子も再現され非常にリアリティのあるミュージアムになっています。

野球やロック音楽の殿堂として、ライブパフォーマンスの現場と分離して展示されてしまうことがよくあります。いくら映像などでライブの状況を再現しても、感動が半減する経験をしてしまいます。展示環境の優劣以上に、そこがライブパフォーマンスの現場であることが重要であると思います。もちろん公演との関連で運営は大変ですが、ミュージアムが付帯したニッポン・シアターは非常に魅力的だと考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 
今なぜ 共体験なのか? 共体験デザイン ①

【内容】 第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 第2章 経済的・技術的背景からみる共体験デザインの価値 第3章 多様性・実務性を踏まえた都市開発の新たなインフラ     第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 現代の都市は、人の数こそ多いものの、匿名性が強まり個人は孤立しがちです。 都市生活者の多くは、道を行き交う群衆の中で互いに接触することなく、ただ通過していく日常を過ごしてい

 
 
 

コメント


bottom of page