top of page
検索

卒・売り場思考の商業施設② DtoCメーカーの台頭と課題

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年1月18日
  • 読了時間: 2分

日本のBtoC(物販系)Eコマースの市場規模は10兆円(2019年)から12.2兆円(2020年)になり、21%を超える伸びを示しています。よく比較される全国の百貨店売り上げ合計が5.6兆円(2019年度)から4.1兆円(2020年度)と大幅下落している状況とは好対象で、コロナ禍を経て、小売の主役交代&オンライン1stの時代を実感させます。この Eコマース市場において急激に存在感を増しているのが、Dto Cメーカーです。中間流通業者を通さず自社のEC サイトを通じて、顧客に直接販売するメーカー直販ECで、海外事例の Warby Parker(メガネ) やAllbirds(スニーカー)、国内事例ではバルクオムやファブリックトウキョウなどが代表格です。従来のように工場設備や店舗などを持たずに開業できるため、大きな初期投資を伴わず参入障壁も低く、日々新しいDto Cメーカーが誕生し続けている状況です。急激に増え乱立するDtoC メーカーの最大の課題は「集客」です。それぞれ SNSを通じてブランドの世界観などを発信していますが、情報洪水の中でデジタルだけで差別化を図っていくことは極めて困難です。増え続ける競合に対抗するために①オンライン広告の費用は高騰し、②高まらないリピート購入率に苦しみ、③結局は大多数のお客様が大手に流れがちな状況です。商業施設を運営するパルコ幹部のコメントによると「最も顧客獲得率が高い方法はSCへの出店」になるそうです。新業態の発展ステップとして「催事販売→1号店出店→多店舗展開」という従来の拡大路線ではなく、「ネット販売→時々ポップアップストア」という図式にシフトしています。【オンライン1st】で話題づくりやリアルな顧客接点機会として、SC内にポップアップストアを出店するケースが増えているのです。

【オンライン1st】とはリアル店舗を主軸にして、販売促進や情報発信のためにネット活用するのではなく、売り上げの主軸であるネットショップ活動のアクセントとして、リアル店舗(ポップアップストア)出店という位置付けに逆転すると言う事です。当然ポップアップストアの目的やコンセプトも変わり、商業施設におけるポジショニングや対応にも発想の転換が必要になります。

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 
今なぜ 共体験なのか? 共体験デザイン ①

【内容】 第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 第2章 経済的・技術的背景からみる共体験デザインの価値 第3章 多様性・実務性を踏まえた都市開発の新たなインフラ     第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 現代の都市は、人の数こそ多いものの、匿名性が強まり個人は孤立しがちです。 都市生活者の多くは、道を行き交う群衆の中で互いに接触することなく、ただ通過していく日常を過ごしてい

 
 
 

コメント


bottom of page