top of page
検索

卒・売り場思考の商業施設⑤ 商業ディベロッパーの役割

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年1月24日
  • 読了時間: 2分

商業ディベロッパーは従来の床貸しスタンスを根本から見直す必要があります。人口減少・超成熟社会を認識しながら、ダウントレンドへの対応を先送りしてきた「ツケ」が、コロナショックで一気に顕在化され、待ったなしの状態と言えます。

商業施設の DX化で先頭を走るパルコグループ(パルコデジタルマーケティング 岡田泰宏氏)は、以下のような施策を提言されました。

  1. テナント店舗のDX 化支援:商業施設内のテナントは千差万別です。 DX シフトが進み「オフ会の場としてイベント機会を提供するテナント」レベルから、「テナントの集客、接客支援サービスを提供する」レべル、さらには「決済に至るフル DXサービスを提供する」レベルなど、テナント店舗のDXニーズは3〜4段階のオプションに分類できるそうです。商業ディベロッパーにはそれぞれに対応した DX 化支援インフラ&サービスが求められるのではないでしょうか。

  2. 館としてのファンコミュニテイ形成:テナント DX支援の前提として「館」そのものがファンコミュニティを持っていなければなりません。そのためには単発・発信型の販促イベント思考ではなく、継続・参加型の定常プログラム思考で、活動を組み込んでいく必要があります。 健康・子育て・趣味などの興味と好奇心を元にした知縁テーマで、ファンコミュニティを拡張していくために、NPOや教育機関他の各種団体との連携が不可欠になってきます。


従来の「売り上げ歩合賃料+販促費」という事業モデルではなく、よりきめ細かな効果測定と対価を実現する事業モデルへの転換が求められてます。広告業がマスメディアの枠を押さえて販売する従来モデルから、きめ細かな効果測定と対価まで求められている状況に酷似しています。

単に多くに店舗が集積しているだけでなく、ミュージアム・教室やイベントなどの目的環境で「わざわざ外出・来店する口実」に対応し、カフェ・ダイニングなどの滞留環境で「せっかく外出したら、色々楽しみたいという充足心理」に応えるための「ワンストップ環境」の整備も重要です。

デジタルで「できること・できないこと」が少しずつ見えてきました。オンライン1stの視点で、セレンディピティや深い体験ニーズなど、リアル店舗の役割を明確化していく必要があるのです。さらに市場全体では低減傾向が想定される商業床ニーズの代替として、業際的にオフィスや宿泊の場としての活用も模索すべきだと考えます。もはや「ショッピングセンター」ではなく、真の意味で「ライフスタイルセンター」への転換が求められていると考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 
今なぜ 共体験なのか? 共体験デザイン ①

【内容】 第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 第2章 経済的・技術的背景からみる共体験デザインの価値 第3章 多様性・実務性を踏まえた都市開発の新たなインフラ     第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 現代の都市は、人の数こそ多いものの、匿名性が強まり個人は孤立しがちです。 都市生活者の多くは、道を行き交う群衆の中で互いに接触することなく、ただ通過していく日常を過ごしてい

 
 
 

コメント


bottom of page