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戦略2:「自分ごと化できる仕組み」をつくる 「関わり資本」による都市再生 ⑦

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 7月2日
  • 読了時間: 3分

【内容】

第1章 今なぜ自分ごと化が必要なのか

第2章:三層ごとの「自分ごと化」への導線

第3章:「まちを動かすのは自分たちだ」という空気づくり

 


第1章 今なぜ自分ごと化が必要なのか

地域のまちづくりが広がらない要因の一つに、「参加しても意味がない」「自分に関係ない」といった市民側の心理的な距離があります。

これを乗り越える鍵は、「自分ごと化」、すなわち“関わることで得られる意味”が個人にとって実感できる仕組みを用意することです。

まちづくりというと行政主導の堅い印象や、限られた人たちによる活動に見られがちです。しかし、参加の成果が可視化され、周囲からも承認され、自分の暮らしに小さな変化が起きるなら、人はその取り組みを「自分のまち、自分の役割」として捉え直すようになります。

ここで自治体に求められるのは、個人の関わりを「評価し、見える化する」制度の構築です。

たとえば、地域活動への参加履歴に応じたポイント付与や、市民提案が実際の政策に反映されるミニ・アイデア採択制度、住民投票を活かしたコンセプト選定などが有効です。

また、地域の高校・大学との連携を通じて、課題解決型学習を実社会につなげる仕組みも、若年層の関与を促進します。

 

第2章:三層ごとの「自分ごと化」への導線

三層モデルで見たとき、それぞれの層にとって「自分ごと化」のポイントは異なります。

①主体的に動く人たちは、地域をより良くしたいという動機を持っています。

その実践に対して、成果が社会にどう波及したかを示す「ストーリーの共有」や、「表彰・発表の場」がモチベーションとなります。例えば、活動の事例が市の広報紙に載る、地域表彰を受ける、地域外のイベントに登壇できるといった“承認の連鎖”が、さらなる推進力になります。

②協力する人たちにとっては、「一度関わって終わり」にならない仕組みが重要です。

スポット的な関わりであっても、成果が報告されたり、活動の様子がSNSで共有されたりすることで、「自分が少し関わったことが意味を持っていた」と感じられます。さらに、運営者からの感謝の声や、他の協力者とのつながりがその後の参加意欲を高めます。

③参加する人たちには、「意見が反映された」という実感が何よりの動機になります。

例えば、イベント後の簡単なアンケートが、次回の内容に反映されていたり、「皆さんの声でこの名称が決まりました」と案内されたりするだけでも、自分の関与がまちを動かす一部であったと認識できます。

 

第3章:「まちを動かすのは自分たちだ」という空気づくり

参加が“自分ごと”になると、人々の関与は驚くほど能動的になります。

イベントの観客が、次は企画者になり、プロジェクトの相談に乗るようになる──こうした循環が起きるのは、「参加が何かを変える」という体験を通じて、自らの存在意義をまちの中に感じられたときです。

行政は、こうした個々人の「関わりの履歴」を丁寧に蓄積し、次の機会やネットワークとつないでいく“編集者”としての役割を担うべきです。

民間側は、「語る人」を育て、成果やプロセスを物語として発信していくことが求められます。

まちづくりにおいて、「意見を聞いたから良し」ではなく、「反映される構造」と「関与する手応え」が組み込まれた仕組みづくりこそが、地域全体の動力源になります。

「行政がつくるまち」から、「市民とともにつくるまち」へとシフトするために、まずは小さな関わりにも“意味”が生まれる設計が必要です。


 
 
 

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