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方策1「イノベーション・シェアオフィス」 シン・シェアオフィス ⑦

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2024年7月31日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. 革新領域事業を生み出す環境づくり

  2. 「特区ルーム」としてのシェアオフィス

  3. イノベーション・シェアオフィスの設え

 

 

1.革新領域事業を生み出す環境づくり

デロイトの調査(2016年)によると、日本企業の売上高に占める「新規領域」の割合は14.1 %で、その1/4が革新領域(自社でも市場でも新領域)で占められているという事です。

商品・サービスの賞味期限が短くなる中で、企業が収益を上げて成長を継続するためには、常に新規事業、もっと言えば「革新領域事業」を生み出し続ける必要があるということです。

日本企業の生産性はOECD加盟国の中で20位前後を行き来しており、以前から非効率性が指摘されてきました。

「付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量」として算出されるのですが、日本企業の「ルーティンワークの多さ」と「長い会議&意思決定の遅さ」が、ハードルとなって、人件費の高いホワイトカラーの生産性が、低くなっていると考えられます。

このような硬直化した企業風土の中で、革新領域事業を生み出すことは困難ではないでしょうか。

もちろん組織の体質が変革できれば解決するのですが、一朝一夕には難しい状況で、現実性のある解決策として浮かび上がるのが、「特区ルーム」の確保です。

 

2.「特区ルーム」としてのシェアオフィス

イノベーションのジレンマを提唱したクリステンセン教授は、「大企業におけるイノベーションの難しさ」を指摘し、その処方箋として「既存の組織からスピンアウトし、小市場でも成立する独立組織を作る」ことを提案しています。

現代の都市計画における「都市再生特区」と同じで、特定プロジェクトに関しては、一定の条件の元で、組織の一般的な報告プロセスや意思決定ルールを例外的に緩和させることで、特定プロジェクトの運営をスピードアップさせる事が可能です。

また社内の論理だけではなく、外部社会のスタンスとの協調を促すために、企業連携などの「外圧」を利用することも有効です。

このような「特区ルーム」は自立したワークスタイルや外部との連携などの必要性から、企業オフィスに内蔵するのではなく、外縁部でシェアオフィス化する事が望ましいのではないでしょうか。

 

3.イノベーション・シェアオフィスの設え

革新領域事業を生み出すための情報創造業務には、幅広い知見の人たちとの「対話」が重要です。

自分の考えを巡らせた上で、対等な立場で他者の考えを重ね合わせて、思考を前進させる「対話」を生むには、情報セキュリティを担保する「プロジェクトルーム」と併存して、下記のような「心理的安心感」を育む環境が有効です。

  1. まず寛ぎのある空間の共有感が必要です。四角いテーブルを挟んで議論を戦わせる対面形式ではなく、暖炉やホワイトボードなどを中心に囲むようなラウンド形式による一体感が有効だと考えます。

  2. 次に無機質な空間では無く、書籍やアートなど適度な「ノイズ」が作り出すカジュアルな環境づくりも有効です。

  3. さらに趣味のコレクションやオモチャ、或いは食べ物や飲み物など「行動のトリガー」を仕込むことも有効です。特に食べ物や飲み物による嗅覚や味覚の刺激は非常に効果的だと考えます。

これらのハード環境に加えて、交流を仕組むための「大学見立て」のソフトマネジメント」が重要です。

ソーシャル大学の先駆けとなった「シブヤ大学」は、渋谷の街をキャンパスに見立てて、学部、授業、ゼミ、学園祭などをプログラム化しています。

同様に施設全体を「大学と見立て」て、一定のテーマに沿って月に数回の講義(勉強会)や個別ゼミ(共同研究)を定期プログラムとして運営していく事が有効です。

表面的な交流会やプレゼン大会ではなく、継続的な共同作業を通して認識を共有しながら、本質的な交流・コラボレーションを促せるのではないでしょうか。

 
 
 

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