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日本のまちづくりの未来展望 「関わり資本」による都市再生 ⑩

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 7月9日
  • 読了時間: 3分

【内容】

第1章:関わりしろが育む、共につくるまちの姿

第2章:記録と編集が育む“語られる都市”

第3章:「関わり資本」主義が都市の未来をつくる

 

 

第1章:関わりしろが育む、共につくるまちの姿

日本各地で人口減少や高齢化が進む中、まちづくりの持続可能性が問われています。従来のような行政や企業主導のトップダウン型では限界があり、これからは市民や地域プレイヤーの「小さな関わり」を育てるボトムアップ型のアプローチが重要です。

その鍵となるのが、「関わりしろの用意」「自分ごと化の仕組み」「続けられる環境づくり」の3つの戦略です。空間や制度をひらき、参加の意味や手応えが実感できるように設計し、無理なく継続できる仕掛けを整える。こうして関与のハードルが下がることで、イベントの主催者や運営サポーター、雰囲気を楽しむ参加者など、多様な関わり手がまちに集まり始めます。

この三層の関与構造は、まちの担い手を限定せず、誰もが“自分の関わり方”を選べる柔軟さを持ち、都市における共創の土壌となるのです。

 

第2章:記録と編集が育む“語られる都市”

ただし、こうした市民の関わりは、小さく断片的であるがゆえに、放っておくと忘れられてしまいます。そこで求められるのが「可視化」と「編集」の仕組みです。

たとえば、「まちの関わり可視化マップ」では、誰が・どこで・どのような想いで活動したかをストーリー付きで記録します。

さらに、その出来事に意味と文脈を与える存在が「まちの編集長」です。編集長は単なる広報役ではなく、まちで起きた出来事に物語性を与え、蓄積された関わりを“都市の記憶”として残す役割を担います。

このようにして生まれるのは単なるイベント履歴ではなく、地域に息づく「関わりの文化」です。

関わりが記録として残ることで、市民は自分の存在がまちの一部になったと実感し、その記録がまた新たな担い手へのインスピレーションとなります。まちは単なる場所ではなく、語られ続ける存在へと変わっていくのです。

 

第3章:「関わり資本」主義が都市の未来をつくる

こうして育まれた関わりの総体は、「関わり資本」と呼ばれる新たな地域資源となります。関わり資本とは、まちに関わる人の数や深さ、つながりの厚みといった目に見えない無形資産であり、これが高いまちは、自然と人やアイデアが集まり、次のプロジェクトが生まれやすく、困難時にも支え合える“都市の免疫力”を備えることになります。

この資本を増やすには、関与の痕跡を記録し、評価し、次につなぐ仕組みが不可欠です。関与者数や活動数、継続率などのKPIを設定して可視化し、学校や企業との連携によって多様な層にとっての関わりの導線を増やす。まちを“参加の舞台”として開き、誰もが「ちょっとだけ関わっていい場所」になることが、これからの都市経営に求められる姿です。

関わる人の記憶がまちに刻まれ、まちそのものが一つのメディアのように語られていく──そんな“都市という物語”の時代が、今まさに始まろうとしています。

 
 
 

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