top of page
検索

次世代の都市評価指標づくり① みんながコミットできる街づくりの評価指標が欲しい

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2021年10月9日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年10月18日

FIACSの本年度の研究テーマを検討する会議で「行政から容積ボーナス以外のインセンティブがないかと相談を受ける時代になっている。新しい街づくりの評価指標が必要なのではないか?」という意見が提示され、これに多くのメンバーが共感する場面がありました。

東京をニューヨークやロンドンに負けないグローバルな競争力を持った都市にしようという視点は分かりやすいと思います。その点で森記念財団が発表する「世界の都市総合力ランキング」は話題になりますし、東京がパリを抜いて3位に躍進すると自尊心がくすぐられるのも事実です。ただ東京全体を対象にするこの評価指標では、地方自治体の努力目標にはなっても、ディベロッパーを中心に街づくりに関係する私たち民間企業にとっては、範囲が広すぎるためコミットのしようが無いというのが実感です。

それに加えて都市の競争力として[経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセス]の6分野で評価する視点も、成長社会志向が顕著で日本のような成熟社会の肌感とのズレを感じるという意見もありました。その点では安心・快適・環境を重視する「Liveable Well Being City調査」の方が親和性が高いと考えます。

またリクルート住まいカンパニーが発表する「住みたい街ランキング」も毎年話題になります。こちらは駅を中心にした街を対象にして親しみやすい範囲なのですが、「あなたが今後住んでみたいと思う街(駅)は?」という漠然としたアンケートの集計結果のため、改善方策が不明確でやはりコミットのしようがないと言われます。

一方で近年の都市開発では都市再生特区の趣旨を反映してエリアマネジメント組織(以下エリマネ)を設立し、ソフトな街づくり活動を試みる事が通例になっています。ただ現状では効果も測定できず収益にもつながらないため、次第に活動原資が減らされ継続性に乏しい事例が多い状況です。エリマネ活動などソフトな街づくりの効果が反映できる評価指標の必要性を痛感します。

街単位で、成熟社会に対応して、ソフトを含めて評価され、改善方策が明確な、私たち民間の街づくり推進者がコミットできる評価指標が必要なのです。

 
 
 

最新記事

すべて表示
戦略①:共創インフラとしての空間設計 ─ 人間とAIの知的対話を支える“場”のつくり方 AI 共創オフィス ⑦

【内容】 第1章 なぜ今、「AI共創オフィス」が必要なのか 第2章 AIとの共創を実現する3つの空間設計 第3章 共創を支えるデザインとインフラの工夫     第1章 なぜ今、「AI共創オフィス」が必要なのか 生成AIの進化とともに、私たちの働き方や意思決定のプロセスは大きく変わりつつあります。 AIが提案するのは、過去の知識や統計に基づく「整合的で常識的な回答」です。非常に優秀で実用的ではありま

 
 
 
基本的な視点と三つの戦略 AI共創オフィス ⑥

【内容】 第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 第2章 AI時代の競争力を支える「企業文化」という内的OS 第3章 AI×文化の共創拠点としての企業オフィスとサテライトオフィスの連携     第1章 AIと分散ワークがもたらす働き方の地殻変動 生成AIの進化とリモートワークの定着により、私たちの「働く場所」の概念は大きく変わりました。 業務の多くはオンラインで完結でき、駅ナカや自宅、

 
 
 
AI時代における企業オフィスの課題と方向性  AI共創オフィス ⑤

【内容】 第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 第2章 意思決定の“軽さ”がもたらす成長の喪失 第3章 “唯一無二”の判断軸を生むのは、企業文化である     第1章 AIが生む「標準答案社会」と思考の軽量化 現代は、AIの進化とリモートワークの普及によって、私たちの意思決定のあり方が大きく変化しています。 とりわけAIは、「優秀な常識人の標準答案」とも言うべき、整合的で倫理的かつ網羅

 
 
 

コメント


bottom of page