第3章 なぜ創造性は生まれないのか:オフィスの行動OS ③
【内容】
1.創造性は大切だと分かっている
2.効率を追い求めたオフィスの限界
3.本当の課題は「行動」にある
1.創造性は大切だと分かっている
「もっと新しいアイデアを出そう。」
「失敗を恐れず挑戦しよう。」
最近、このような言葉を耳にする機会が増えました。
多くの企業が、創造性の大切さを理解しています。
しかし実際には、「創造的な会社になった」と実感している企業は、それほど多くありません。
なぜでしょうか。
その理由は、社員に創造力がないからではありません。
創造性を発揮したくても、それが生まれにくい環境になっているからです。
例えば、毎日たくさんの会議があり、メールやチャットの返信に追われ、目の前の仕事をこなすだけで一日が終わってしまう人も少なくありません。
新しいことを考えようと思っても、その時間も心の余裕もありません。
また、失敗すると評価が下がるのではないかという不安があれば、誰も積極的に挑戦しようとは思いません。
創造性は、「頑張ろう」という掛け声だけでは生まれないのです。
2.効率を追い求めたオフィスの限界
これまで多くのオフィスは、「効率よく働くこと」を目的に進化してきました。
仕事を早く終わらせる。
移動時間を短くする。
会議を効率よく進める。
もちろん、これらは大切なことです。
しかし、創造性という視点で考えると、効率だけでは十分ではありません。
新しいアイデアは、予定どおりには生まれません。
廊下での立ち話や、コーヒーを飲みながらの雑談、他部署との何気ない会話の中から生まれることがよくあります。
ところが、多くのオフィスでは、そのような偶然の出会いや自由な対話が少なくなっています。
さらに、仕事は部署ごとに分かれ、完成してから報告することが当たり前になっています。
途中のアイデアを気軽に見せたり、「少し相談してもいいですか」と声を掛けたりする機会は、決して多くありません。
その結果、一人ひとりは一生懸命働いているのに、新しい価値を一緒に育てる機会は少なくなってしまうのです。
効率を高めるためにつくられた仕組みが、知らないうちに創造性を育てにくくしていることもあるのです。
3.本当の課題は「行動」にある
創造性が生まれない原因を考えるとき、私たちは「もっと優秀な人材が必要だ」「もっと研修を増やそう」と考えがちです。
しかし、本当にそうでしょうか。
私は、問題は能力ではなく「行動」にあると考えています。
どんなに優秀な人が集まっていても、お互いに話さなければ新しいアイデアは生まれません。
どんなに素晴らしい企画でも、途中で誰にも見せなければ改善されることはありません。
挑戦しようと思っていても、小さく試せる場がなければ、その一歩は踏み出せません。
つまり、創造性は特別な才能から生まれるのではなく、「出会う」「話す」「試す」「学ぶ」「育てる」という日常の行動の積み重ねから生まれるのです。
ところが、多くの会社では、それらの行動は社員一人ひとりの努力に任されています。
偶然話しかける。
勇気を出して相談する。
自分から挑戦する。
それでは、人によって差が生まれてしまいます。
もし創造性が企業の競争力になるのであれば、それは個人任せではなく、会社として育てる仕組みが必要です。
では、どうすれば創造的な行動は自然に生まれるのでしょうか。
その答えが、「オフィスの行動OS」という考え方です。
オフィスを変えるとは、机や会議室を増やすことではありません。
社員が自然に出会い、対話し、挑戦し、学び合う行動を日常の中に組み込むことです。
次章では、その考え方を「オフィスの行動OS」として詳しく見ていきます。

コメント