第9章 参加を広げる 参加デザイン ⑨
【内容】
1.最高の広告は「参加者」である
2.「伝えたくなる体験」を設計する
3.集客は「集める」から「育て、広げる」へ
1.最高の広告は「参加者」である
これまでの集客ビジネスでは、広告や宣伝が新しいお客様を呼び込む主役でした。
新聞やテレビ、折込チラシ、インターネット広告などを通じて施設やイベントを知り、興味を持った人が来場する。この流れが一般的でした。
もちろん、広告はこれからも重要な役割を果たします。
しかし、現在では人が行動を起こすきっかけが大きく変わっています。
「友人がSNSで紹介していた。」
「家族に勧められた。」
「口コミで評判を聞いた。」
「参加した人がとても楽しそうだった。」
このように、人は広告よりも、実際に体験した人の言葉や行動に心を動かされるようになっています。
つまり、新しい参加者を連れてくるのは広告だけではありません。
参加者自身が、新しい参加の入口になっているのです。
2.「伝えたくなる体験」を設計する
では、参加者はなぜ体験を誰かに伝えたくなるのでしょうか。
それは、心が動いたからです。
楽しかった。
驚いた。
感動した。
誰かにも体験してほしいと思った。
こうした気持ちが、自然に口コミやSNSでの発信につながります。
だからこそ、参加デザインでは「参加した後」まで設計することが重要になります。
写真を撮りたくなる景色。
誰かに話したくなるエピソード。
家族や友人と一緒に来たくなる仕掛け。
応援したくなるストーリー。
こうした体験は、一人の参加で終わりません。
新しい参加を呼び込み、参加の輪を少しずつ広げていきます。
参加者は、お客様であると同時に、施設の魅力を伝える最も信頼できる広報でもあるのです。
3.集客は「集める」から「育て、広げる」へ
ここまで本書では、参加デザインの三つの設計原則について整理してきました。
第一は、参加の入口を増やすことです。
誰もが気軽に関われる入口を数多く用意することで、新しい参加者との出会いを生み出します。
第二は、参加を育てることです。
一度の利用で終わらせず、さまざまな体験を通じて長い関係を築いていきます。
そして第三は、参加を広げることです。
参加者が新しい参加者を呼び込み、その輪が自然に広がっていく仕組みをつくります。
これまでの集客ビジネスは、「何人集めるか」が競争でした。
しかし、参加デザインが目指すのは、「参加が参加を生み出す循環」をつくることです。
この循環が生まれれば、施設は広告だけに頼らず、人との関係そのものによって成長し続けることができます。
私は、この循環こそが、これからの集客ビジネスにおける最大の競争力になると考えています。
参加デザインとは、人を一度だけ集めるための技術ではありません。
人との関係を育て、その関係が新しい参加を生み出し続ける仕組みを設計する思想です。
入口を増やし、参加を育て、参加を広げる。
この三つの設計原則は、スポーツ、文化、商業、観光、そして街づくりまで、あらゆる集客ビジネスに応用できる普遍的な考え方です。

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