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行政施策の動向と課題 ローカルリンクステーション ③

執筆者の写真: admin
admin
2025年9月10日
読了時間: 4分

【内容】

第1章:行政による事業承継支援の広がり

第2章:取り組みの成果と地域での好事例

第3章:制度の限界と、残された課題

 

第1章:行政による事業承継支援の広がり

こうした後継者不在による廃業の増加に対応するため、国や地方自治体ではさまざまな対策が講じられています。

特に中小企業庁は、2025年までに70歳以上となる中小企業経営者のうち、後継者未定の企業が127万社にのぼるとする「2025年問題」を提示し、危機感を共有しています。

その対策として代表的なのが、「事業承継・引継ぎ支援センター」の全国展開です。

このセンターは、後継者を探す事業者と、事業を引き継ぎたい個人・企業とをマッチングする役割を担っており、現在では全国すべての都道府県に設置されています。

2023年度には、相談件数が年間7万件を超えるなど、一定の成果を上げています。

加えて、国は事業承継にかかる税負担を軽減するための「事業承継税制」を拡充しました。

一定の条件を満たす場合には、贈与税や相続税の納税を猶予・免除する制度であり、親族間・非親族間ともに利用可能です。

また、地方自治体レベルでも、独自のマッチングプログラム、専門家派遣、M&A補助金などの支援策が広がっており、商工会議所や金融機関との連携によって“伴走型支援”を行う例も増えてきました。

 

第2章:取り組みの成果と地域での好事例

こうした行政支援により、いくつかの地域では事業承継に成功した好事例も生まれています。

たとえば、石川県加賀市の町工場「新家製作所」では、創業者の急逝後に後継者が不在となり、一時は廃業も検討されましたが、県の事業引継ぎセンターがマッチング支援を行い、わずか9カ月で第三者承継が実現しました。

製造技術や雇用を守るだけでなく、新しい経営者による業態転換も進み、地域産業の再生につながった好例です。

また、福島県では県主導の事業引継ぎ支援が強化され、2023年度の相談件数は過去最多の1,156件となりました。金融機関との連携強化や「後継者人材バンク」の活用など、受け皿づくりが進められています。

こうした取り組みが徐々に実を結びつつある一方で、実際に承継成立に至るのは相談全体の1〜2割程度にとどまるのが現状です。

成功例は貴重ですが、地域全体の廃業ペースに追いついていないのが実情です。

 

第3章:制度の限界と、残された課題

行政の支援が広がっているとはいえ、実際の現場ではいくつもの課題が浮き彫りになっています。

まず、制度の存在そのものが知られていないという情報格差があります。

地方の事業者ほどインターネットや金融機関から遠く、行政施策へのアクセスが難しいのです。

次に、事業承継は単なる「引き継ぎ」ではなく、人と人との信頼関係が不可欠なプロセスであり、マッチング成立には相性や理念の共有が必要です。

そのため、制度設計だけでなく伴走型・個別対応型の支援体制が求められますが、多くの自治体では専門人材が不足しており、対応が追いついていません。

さらに、現行制度は黒字企業や設備保有型の事業者には適用しやすいものの、伝統工芸や地域文化を担うような「価値の可視化が難しい」事業には十分対応できていないのが実情です。

数字に表れにくい価値、たとえば“味”や“信用”“地元との関係性”などをどう継承するかという課題は、制度外の領域にあるのです。

そして何より、現在の支援策の多くは「承継希望者がいること」が前提です。

しかし、人口減少が進む地方では、そもそも継ぎ手候補が現れない地域もあり、制度だけでは救えない“空白地帯”が拡がりつつあります。

今後は、税制や制度設計だけでなく、教育・キャリア支援・地域ブランディングなど、多分野の横断的な施策が必要とされます。

行政が単独で解決するのではなく、企業・地域・市民が連携し、「地域の価値をつなぐ共助モデル」の構築が急務といえるでしょう。

 
 
 

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