top of page
検索

観光産業3.0③ ツーリズムの変遷と根本的な課題

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2022年2月11日
  • 読了時間: 2分

日本におけるツーリズムの変遷を振り返ってみると、「旅好き」な国民性が浮かび上がってきます。江戸時代の「おかげ参り」は有名ですが、観光の基盤となる交通機関、旅館の整備、観光資源の保護などは、明治時代の比較的早い時期になされていたようです。明治末期から大正時代にかけては修学旅行が定着し、温泉地では浴衣姿によるそぞろ歩きなど、いわゆる「マスツーリズム」が一般化していました。欧米においてはフランス、スイスを中心に第二次大戦後にツーリズムが普及したことと比較しても、その普及の早さが特筆されます。戦後の経済成長に伴い1955年頃にまず国内観光が盛んになり、10年遅れて国際観光の人気が高まり、1970年代には観光の大衆化、大量化の弊害として環境破壊が叫ばれるようになりました。

この動向を受け、マスツーリズムに代わって「ニューツーリズム」が提唱されるようになります。旅のスタイルは団体中心から個人中心に変わり、かつての「物見遊山パッケージ」では納得しない層が増え、ショッピング、美術館巡りやスポーツ・リゾート休養、産業観光、グリーン・農業体験、アニメ・映画ロケ地など様々なテーマでの観光が生み出されていきました。日本人の「ジッとしていられない」「居る間は何かしていたい」好奇心を持って「未知の場所や体験に挑戦したい」と言う性分が反映されているようです。

さらにオンラインによる情報流通とOTA・ネット直販が一般化すると、ネットで調べて申し込み現地集合・解散というスタイルの「着地型観光」が普及し出します。様々な体験型プログラムが生まれ、旅の目的や嗜好の多様化を踏まえれば、当然の流れと言えます。ただ着地型観光の消費単価は5000円〜10000円で、大部分は観光振興を目的にした補助サービスとして運営されているのが現状です。地域や運営者の期待は高く、経験者の満足度が高い反面、認知度は低く、まだまだ観光産業の新しい潮流としては、発展途上と言わざるを得ません。この「着地型観光」の未熟さに観光産業の根本的な課題があると考えます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
なぜ今、マンガという社会 OSが必要なのか 漫画立国論 ①

【内容】 第1章 社会は「説明できない苦しさ」を処理できなくなっています 第2章 マンガは「主張しない公共言語」です 第3章 マンガという社会OSを持つという選択     第1章 社会は「説明できない苦しさ」を処理できなくなっています いまの社会には、かつてとは質の異なる苦しさが広がっています。 失業率や所得のように数字で示せず、制度や責任論でも整理できない、「うまく言葉にできない生きづらさ」と言

 
 
 
ご近所資本主義の未来 ご近所資本主義 ⑩

【内容】 第1章 「都市の役割」が静かに変わる未来 第2章 経済と仕事の意味が再定義される未来 第3章 幸福のかたちが更新される未来     第1章 「都市の役割」が静かに変わる未来 ご近所資本主義が社会に浸透した先にまず現れるのは、都市やまちの役割そのものの変化です。 これまで都市は、効率的に人を集め、消費を促し、経済規模を拡大するための装置として設計されてきました。しかし、人口減少や成熟社会を

 
 
 
ご近所資本主義の効用 ご近所資本主義 ⑨

【内容】 第1章 地域経済と都市の構造が変わる 第2章 文化・行政・教育への広がり 第3章 個人の幸福と社会の未来     第1章 地域経済と都市の構造が変わる ご近所資本主義が浸透すると、地域経済のあり方は大きく変化します。 これまでの地域経済は、外部資本の誘致や集客数の増加といった「成長」や「拡大」を目標としてきました。しかしその結果、地域で生まれたお金が地域外へ流出し、地元の商いや雇用が不安

 
 
 

コメント


bottom of page