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貸しビル業を超えて Jカルチャーコンプレクス ⑨

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 6月13日
  • 読了時間: 4分

【内容】

  1. 次世代ファッションビル「Jカルコン」の収益モデル

  2. 「関係資本ビル」という新しい施設のかたち

  3. 関係資本ビルを推進するために必要な組織とスキル

 

  

1.次世代ファッションビル「Jカルコン」の収益モデル

Jカルコンは、単なる「テナント賃料型」ビジネスから脱却し、「体験」「デジタル」「サブスクリプション」を組み合わせた多層的な収益モデルへ進化します。主な収益源としては、

①通常のテナント賃料、

②イベント開催による収益、

③月額制コミュニティ課金、

④バーチャル館での課金、

⑤デジタルサイネージ等による広告収益、

⑥来館・購買データ活用ビジネス

などが挙げられます。

従来は「賃料収入が80%以上」を占めていましたが、未来型では「賃料50%、その他体験・デジタル・会員ビジネス50%」という収益バランスを目指します。

これは、単なる「場所貸し」から「関係性を売る」ビジネスモデルへの大転換であり、Jカルコンは、「都市型クリエイティブパーク」「リアルとデジタルの二重構造」「モノ・コト・ヒトをつなぐ【関係資本ビジネス】」を志向する存在へと進化していきます。

 

2.「関係資本ビル」という新しい施設のかたち

「関係資本(Relational Capital)」とは、企業やブランドが顧客、パートナー、地域社会と築く信頼関係や絆を意味します。

数値化は難しいものの、長期的な価値創造の基盤となる重要な資産です。

この考え方を核に据えた「関係資本ビル」とは、物理的な空間そのものではなく、そこに集う人々との無形の関係性を中核に置き、継続的な価値と収益を生み出す商業施設を指します。特徴としては、

  1. テナントや商品の集合ではなく「ファン・コミュニティ」が中心資源であること

  2. 購買だけでなく、共感・絆・自己表現を促すこと

  3. 来館が一度きりで終わらず「つながり続ける仕組み」を持つこと

  4. リアル施設とデジタル(メタバースやSNS)を一体運営すること

などが挙げられます。

関係資本を蓄積するためには、

  • 共創(参加型イベントやワークショップ)

  • 共感(街や時代を映すコンセプト設定)

  • 共鳴(顧客同士が自然につながる空間設計)


    といった戦略が求められます。

つまり「商品を売る場所」から「つながる場所」へ。人と人との絆を育み、街の文化と経済を同時に成長させる、未来型の都市拠点となるのです。

 

3.関係資本ビルを推進するために必要な組織とスキル

関係資本ビルを実現するためには、従来のディベロッパー型組織とは異なる新しい組織体制が必要になります。

具体的には、次のような段階別スキル体系が求められます。

  1. 【開発段階】では、無形資産としての関係性を設計に組み込む「コンセプトプランニング室」、空間やビジュアル世界観を統一する「クリエイティブディレクション部」、地元連携を担う「地域連携推進室」が重要です。

  2. 【建築・空間設計段階】では、共創・偶発的出会いを促すレイアウト設計を担う「空間デザイン部」、アートによる独自性演出を担当する「インテリアアート企画部」、持続可能性を意識した設計を行う「環境デザイン部」が必要です。

  3. 【運営・収益化段階】では、ファンとのつながりを育成する「コミュニティマネジメント部」、バーチャル運営やデータ活用を推進する「デジタルマーケティング部」、パートナー型でテナントと関わる「テナントプロデュース部」、月額サービスを設計する「サブスクリプション開発部」など、多様なチームが活躍します。

  4. 【成長・データ活用段階】では、行動データ・購買データを分析して運営改善する「データアナリティクス部」、顧客との絆を数値化・強化する「リレーション資本評価部」が不可欠となります。

まとめると、関係資本ビルの推進には、「不動産開発」×「文化編集」×「デジタル運営」×「コミュニティ育成」×「サステナブル設計」というハイブリッド型チームが必要です。従来型ディベロッパーが「建てて貸して管理する」組織だったのに対し、関係資本ビル型組織は「育ててつながりを広げる」組織です。すなわち、空間資産ビジネスから関係資産ビジネスへの本質的な転換が求められているのです。

 
 
 

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