top of page
検索

都市づくり5.0 Beyondコロナの都市づくり50のヒント(18) 「会食」価値を極める

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2021年7月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年7月26日

Ⅰ 「食」=美味追求? /Ⅱ 会食の価値と可能性 /Ⅲ 次世代の「会食」価値づくり


Ⅰ 「食」=美味追求?

2021年1月31日に東京都葛飾区柴又にある川魚料理の老舗料亭「川甚」が閉店しました。コロナ禍で各地の飲食店が苦境に喘ぐ中、映画「男はつらいよ」の舞台にもなった名店の閉店です。老舗を支えるのは主に中高年客で、感染を恐れて外出しなかったり、大人数の宴会を取りやめたりする客が多く、特に打撃を受けてという事です。政府や東京都の支援事業への対応にはサイト登録などが必要で、老舗関連のネットを使えない店や客は恩恵に与れない状況と言えます。

料亭とは、主に日本料理を出す高級飲食店で、企業の接待・宴会や商談、要人や政治家の打ち合わせなどに使われます。日本文化の結晶とも言え、料理・器・数寄屋造・日本庭園・美術品・芸妓・邦楽などの正統派の日本文化を堪能できる場所になってきました。

料亭はもう時代遅れなのでしょうか?「食」は単に自分が美味しいものを食べることがゴールなのでしょうか?「グルメ」として取り上げられるお店は、厳選した素材に手間をかけ、美味を追求するプロと言えます。でも少し間違えると、いつの間にか単一価値だけを求めるようになってしまいます。よく例に出される「時計」で考えてみると、当初はスイスが精密機器のメッカとして君臨していましたが、セイコーなど、正確さ・使いやすさ・大量生産を得意とする日本企業に圧されました。事業継続の方策を必死で模索した結果「時を刻む宝飾品」としての価値を極めたブレゲやリシャール・ミルなどの創造にたどりついたわけです。「カメラ」や「自動車」についても同様の流れが見えます。山口周氏の言葉を借りるなら「役に立つ」から「意味のある」価値提供に舵を切り、新しい市場を形成した事例です。

食の世界でも「美味の追求」だけではない、価値づくりにも目を向けるべきだと考えます。

それが料亭に代表される他人との関係機会として外食ではないでしょうか。デート、ビジネスディナー、レセプション、公邸会食など、視野が狭くなりがちな現代のネット社会だからこそ必要な、リアル空間での「会食」価値だと考えます。


※【Ⅱ 会食の価値と可能性 /Ⅲ 次世代の「会食」価値づくり】につきましてはnote にて購入いただけますと幸いです。

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 
今なぜ 共体験なのか? 共体験デザイン ①

【内容】 第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 第2章 経済的・技術的背景からみる共体験デザインの価値 第3章 多様性・実務性を踏まえた都市開発の新たなインフラ     第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 現代の都市は、人の数こそ多いものの、匿名性が強まり個人は孤立しがちです。 都市生活者の多くは、道を行き交う群衆の中で互いに接触することなく、ただ通過していく日常を過ごしてい

 
 
 

コメント


bottom of page