top of page
検索

都市クオリア指標の高め方⑤ 朝・夜の活用による変化拡張

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2021年11月12日
  • 読了時間: 2分

自分の想念ばかりで思いを巡らせていると、脳のDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の働きによって、知らず知らずのうちに視野が狭くなり、考えが堂々巡りに陥っていることがよくあります。思考の緩急や振幅を促すにはリアルな環境を変える事が有効です。ちょっと外を歩いてみると、思わぬ発見から解決策やアイディアを思いつくモノですが、超高層オフィスや巨大ショッピングセンターの中ばかりにいると、時間や天候の変化にさえ気づく機会がありません。その意味で昼と夜とで別の顔を見せることが、街の魅力になるのではないでしょうか。昼間は何という事のない通りでも、夜市に変貌し無数の電飾に彩られると、歩くだけでワクワクしてきます。「夜は昼間には、とても得られない柔らかい人間味のある時が流れる。刺々しい昼の持つ一切の仲違いと競争と過度な忙しさに幕を下ろし、本来の人懐こい心に戻る時間である」と都市計画家の蓑原敬氏は述べています。そんな精神感覚の中で出会うヒト・モノ・情報は、全てが瑞々しく興味を唆るのではないでしょうか。台湾をはじめ東南アジアで開催される夜市は、ナイト・エンタテイメントの重要な要素になっています。逆に「キャンドル・ナイト」のように、電気を消してスローな夜を楽しむ事も有効です。普段とは異なる静かな時間の流れを感じる事ができるはずです。一方で函館朝市が有名ですが、各地で開催される観光朝市も、競合のない時間帯を独占し、朝の新鮮な精神感覚の人たちを集める事ができる手段になっています。昼間はカフェ&夜はクラブになるラウンジを備えたホテルがコミュニティの中心になる例がありますが、海外では昼間はコワーキングスペースで夜にはクラブに変わる二毛作の活用事例もあるようで、まだまだ様々な工夫が考えられそうです。朝時間と夜時間の活用は昼間とは全く異なる精神感覚と人間関係とを育むのに有効な機会だと考えます。


【朝・夜の活用による変化拡張:朝時間と夜時間を活用した昼とは異なる状況づくり】

 
 
 

最新記事

すべて表示
共体験研究の変遷 共体験デザイン ③

【内容】 第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 第2章 共体験の社会的接合と都市研究への展開 第3章 共体験の測定・検証と都市開発への統合   第1章 共体験研究の萌芽と概念の確立 都市開発における「共体験」の研究は、1960年代から80年代にかけて、公共空間における人々の行動観察から始まりました。 ウィリアム・ホワイトの『The Social Life of Small Urban Spaces

 
 
 
共体験の定義 共体験デザイン ②

【内容】 第1章 「共体験」とは何か 第2章 都市開発における共体験の広がり 第3章 都市開発での実践方法   第1章 「共体験」とは何か 「共体験(Co-experience)」とは、複数の人が同じ時間や場所で体験を分かち合い、その中で互いに感情や意味を育てていくことを指します。 例えば、一人で食事をするのと、友人や家族と一緒に食事をするのとでは、同じ料理でも感じ方が違います。 それは、周りの人

 
 
 
今なぜ 共体験なのか? 共体験デザイン ①

【内容】 第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 第2章 経済的・技術的背景からみる共体験デザインの価値 第3章 多様性・実務性を踏まえた都市開発の新たなインフラ     第1章 社会的背景と都市における共体験の必要性 現代の都市は、人の数こそ多いものの、匿名性が強まり個人は孤立しがちです。 都市生活者の多くは、道を行き交う群衆の中で互いに接触することなく、ただ通過していく日常を過ごしてい

 
 
 

コメント


bottom of page