top of page
検索
  • 執筆者の写真admin

コンセプト再考 ⑥ 都市開発における建築の三層構造

都市開発において当然ですが「建築のあり方」は特に大切です。

ですから設計コンセプトの手がかりとなる「企画・構想(開発)コンセプト」を明確に示す必要があるのですが、逆の流れになっているのが現状ではないでしょうか。

開発プロジェクトは「取り敢えずボリュームスタディしてみる」と称して主要用途を容積率一杯に作った計画からスタートします。何度か、このボリュームスタディを目にしている内に、プロジェクトチーム内では、その形状が規定事実になってしまいます。

何もわからない内にプロジェクトが進み、他の計画の方針と整合しなくなって修正しようとしても、工程やコストの問題で手遅れと言われ、事後承認的に前進していくことが多いのではないでしょうか?図面を見ただけではイメージできず、工事で鉄骨が立ち上がってから初めて状況がわかることも多々あります。

これらは全くの無駄・損失といえます。

都市開発において、建築計画は高・中・低の三層構造化すべきと考えます。①高層部の計画は都市におけるシルエットとして、どのようなスカイラインを形成するのか?鳥瞰的な視点で考える領域です。ペントハウスで特徴づけたり、頭頂部のライトアップも有効です。②中層部の計画は、オフィスや住宅、ホテルなどの主用途が効率的に配置される部分です。極論を言えば①高層部②中層部は建築設計主導で問題ないと思います。

しかし街につながる③低層部の計画は、事業者主導で慎重に検討すべき領域です。

従来は総合設計制度の活用に伴う公開空地を「なんとなく」確保してきましたが、企画・構想コンセプトで提示すべきなのは、この部分のあり方なのです。

これまでの都市開発では、オフィスや住宅、ホテルは天井高や建築・設備スペックで競われてきました。

しかしオンライン1st時代になり、わざわざ出社する価値のある会社や来街価値のある施設は、「郊外部にはなく、都心ならでは」のリアルな刺激・体験を、どのように提供できるかが、大きな価値・評価になりつつあります。

どのような人たちがどのような活動・交流をして楽しみ・進化しているのか?

またどのようなクリエイティビティやイノベーションが生まれる空気感があるのか?

街は活動舞台であり、経営資源として重要視される時代には、低層部の「街ぎわプレイス」が非常に重要になるのです。

企画・開発コンセプトは単なるお題目ではなく、街ぎわプレイスの設計与件としての役割を果たすべきだと考えます。

最新記事

すべて表示

文化施設の更なる進化 シン・コンセッション ⑮

【内容】 世界目線の必要性 街の DNAに磨きをかける 街(私たち)に自信を取り戻す 1.世界目線の必要性 これまでの「文化施設」は、主に住民の文化啓蒙を目的に作られてきました。 ですから、都市公園などの一部に独立して建設され、施設構成も展示室や劇場などの機能施設に特化していました。 日本人にとっての美術館は、人気のある印象派の絵画など、「西洋、近代、名画」を中心とした企画展を鑑賞しに行く場所だっ

シン・コンセッションの実現に向けて、シンコンセッション ⑭

【内容】 コンセッションの応募主体の想定 コンセッションのステンストゴールの見極め セールス視点の必要性 ハード面での「更なる」進化の必要性 1.コンセッションの応募主体の想定 文化施設のコンセッション事業を実施する際に、ほとんどの自治体が、どのような応募主体になるのかを、想定できていないのではないかを推察します。 都市部と地方とでは、企業の事業領域が異なりますし、文化施設の運営リスクの負担能力に

コンセッションのミライ シンコンセッション ⑬

【内容】 文化施設コンセッションの効用 文化都心マネジメントへの昇華 次世代の都市価値を創造する 1.文化施設コンセッションの効用 「A:地力の向上」「B:多様な文化体験の提供」「C:企業活動との連携」などの施策を展開することによって、文化施設では下記のような効用が想定されます。 1.文化施設にとって 文化施設変革の効用として、まず挙げられるのは「コスト補填」や「観光集客」です。文化施設にレストラ

bottom of page