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基本方針 ライブミュージアム ⑥

  • 執筆者の写真: admin
    admin
  • 2024年8月23日
  • 読了時間: 3分

【内容】

  1. これまでの論点整理

  2. 基本方針

  3. 3つの具体化方策

 

 

今回はこれまでの論点を整理した上で、ライブミュージアムの方向性を検討します。

 

1.これまでの論点整理

  1. 文化施設のコンセッションを実現するためには、「街の文化サードプレイス化」が有効です。ミュージアム系施設は比較的サードプレイス化しやすいですが、シアター系施設では、公演の有無による繁閑格差を和らげる常設施設(例えばライブミュージアム)が必要になります。

  2. 日本においてシアターに付帯するライブミュージアムはほとんどなく、エンタメ系のミュージアムも顕彰や時代考証的な視点のものが多いのが現状です。

そんな中で歌舞伎座だけは、育成・公演・展示・滞留まで備えた複合文化施設として集客しています。

  1. 海外では、音楽文化の支持層が厚い上に、建築的にも十分に見学ツアーを楽しめる施設になっています。

思い切った規模の体系的な展示やパフォーマンス体験を楽しめる観客で賑わっています。

  1. ワンピースのテーマパーク事業を通じて、ライブエンタメを展示・アトラクションとして魅了していくには、演出の完成度と共に「ストーリーと世界観」に没入できる規模感(=時間・プロセス)の必要性を痛感しました。

  2. ライブミュージアムの実現には、まず位置付けをアップデートし、それに相応しい位置と規模が必要です。

その上で、体系的な展示演出や日本人が親しめる体験演出が求められています。

さらに公演との役割分担を踏まえて、公演による感動の準備と余韻に資する展示内容を検討し、街ナカなど外部を巻き込むことによる相乗効果も有効です。

 

2.基本方針

これまでの論点をもとにライブミュージアム計画の方向性を検討するには、シアター系文化施設における、位置付け、展示スタンス、体験スタンス、役割分担など様々な領域のアップデートが必要なことがわかります。

ワンピースのテーマパーク事業での教訓を踏まえると、ライブミュージアム単独で、示唆ター系施設のライブ公演と同等の「感動体験」体験を再現する事は、かなり難しいと言えます。

「感動体験」には、展示物の完成度だけでなく、「ストーリーと世界観」に没入するための時間・プロセスが必要になるからです。

ライブミュージアムでは、感動体験の再現ではなく、「感動体験を補完する役割」が求められます。

まずシアター系文化施設のライブ公演の「沿革や経緯の情報」を提供することによって、私的な苦労話ではなく、「文脈と位置付け」が明確になります。

次にライブ公演の「詳細・周辺情報」を提供することによって、日本人が受け入れやすい「擬似体験」が可能になります。

さらにライブ公演出演者の「多面的なキャラクター情報」を提供することによって、より親近感・シンパシーを抱くことが可能になります。

ライブミュージアムの基本方針は、シアター系施設のライブ公演における「感動体験を補完・増幅させる情報提供」ということになります。

 

3.3つの具体化方策

上記のような基本方針をもとに、ライブミュージアムの具体化方策として、下記の3つの方策を提案します。

【方策1】私的な苦労話ではなく、文脈価値を提示する「展示スタンスの俯瞰的アップデート」

【方策2】日本人が受け入れやすい「体験価値の没入型アップデート」

【方策3】ライブ公演へのシンパシーを増幅する「公演者のキャラクター・アップデート」

 

次回以降に各方策の概要を説明していきます。

 
 
 

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