第4章 オフィスの行動OSという発想:オフィスの行動 OS④
【内容】
1.オフィスは「空間」ではなく「行動」をデザインする
2.行動OSとは何か
3.空間・制度・運営をつなぐ新しいオフィスづくり
1.オフィスは「空間」ではなく「行動」をデザインする
皆さんは、スマートフォンのOSを意識したことがあるでしょうか。
OSとは、アプリを動かすための土台となる仕組みです。普段は目に見えませんが、OSがあるからこそ、さまざまなアプリが快適に動いています。
私は、オフィスにも同じような考え方が必要だと思っています。
これまでのオフィスづくりは、「どんな空間をつくるか」が中心でした。
机をどう並べるか。
会議室を何室つくるか。
カフェスペースを設けるか。
もちろん、これらは大切です。しかし、本当に大切なのは、その空間で社員がどのような行動を取るかではないでしょうか。
同じカフェスペースがあっても、誰も話をしなければ創造性は生まれません。
同じラウンジがあっても、部署ごとに座っているだけでは新しい発想にはつながりません。
つまり、空間そのものではなく、「そこでどのような行動が自然に生まれるか」が重要なのです。
私は、この行動を支える仕組みを「オフィスの行動OS」と呼びます。
オフィスの目的は、立派な空間をつくることではありません。
創造的な行動が自然に生まれる環境をつくることなのです。
2.行動OSとは何か
では、「行動OS」とは何でしょうか。
私は、次のように考えています。
行動OSとは、人が望ましい行動を自然に繰り返したくなる仕組みです。
例えば、横断歩道に信号があれば、多くの人は自然に信号を守ります。
図書館では静かに話します。
レストランでは席に着いて注文します。
誰かに命令されなくても、その場にふさわしい行動を取っています。
それは、その場に「行動のルール」があるからです。
オフィスも同じです。
「困ったことがあれば相談してよい。」
「試作品は完成前でも見せてよい。」
「違う部署の人とも気軽に話してよい。」
そんな行動が自然に起こる仕組みがあれば、創造性はもっと育っていきます。
つまり、行動OSとは社員を管理する仕組みではありません。
社員の創造性を引き出すための仕組みなのです。
3.空間・制度・運営をつなぐ新しいオフィスづくり
行動OSを考えると、オフィスづくりの見え方も変わります。
例えば、「異なる部署の人ともっと交流してほしい」という目的があったとします。
従来であれば、「交流スペースをつくろう」という発想になりがちです。
しかし、スペースをつくるだけでは、人は必ずしも交流しません。
そこで必要なのが、行動OSという考え方です。
例えば、朝のコーヒータイムに違う部署の人と話す仕組みをつくる。
週に一度、部署を越えて昼食を食べる機会を設ける。
試作品を自由に見せ合う時間を決める。
こうした「行動のきっかけ」があることで、初めて空間が活かされます。
つまり、これからのオフィスづくりは、
「空間をつくる」
ことではなく、
「行動を育てる」
ことが目的になります。
そして、その行動を支えるために、空間や制度、運営があるのです。
私は、この順番がとても重要だと考えています。
まず育てたい行動を考える。
次に、その行動が自然に生まれる仕組みを考える。
最後に、それを支える空間や制度を整える。
これが「オフィスの行動OS」の基本的な考え方です。
次章からは、この考え方をもとに、「出会う」「対話する」「試す」「学ぶ」「育てる」という五つの行動を、どのようにオフィスの中で実現していくのかを具体的に考えていきます。

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