基本方針 マインド・メイキング ⑤
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【内容】
第1章 「意味を再生する都市」への転換
第2章 「ハード・ソフト・マインド」の統合的実践
第3章 実装の設計思想 ― 空間・体験・時間の三層構成
第1章 「意味を再生する都市」への転換
これまでの都市開発は、交通利便性や床効率、商業集積による経済性を最優先してきました。しかし現代では、人々は“便利さ”や“効率”よりも、“共感できるストーリー”や“自分の価値観と重なる体験”を求めています。
背景には、
①モノ消費からコト・イミ消費への転換、
②共感を基盤としたコミュニティ形成の重視、
③ウェルビーイングや地域アイデンティティへの関心の高まり、
という三つの流れがあります。
この新たな時代に対応する考え方が「マインド・メイキング(Mind Making)」です。
これは宗教的な精神論ではなく、場所の理念や文化的背景を可視化し、人々が共感を通じてつながる都市デザインのアプローチです。
開発を単なるインフラ整備ではなく、「人と社会の価値観を編集する行為」として再定義することで、都市そのものが“意味のある場”として再生します。
第2章 「ハード・ソフト・マインド」の統合的実践
マインド・メイキングを実装するには、「ハード(空間)」「ソフト(体験)」「マインド(理念)」の三層を一体的に考えることが不可欠です。
まずハード=空間の意味化では、建築や広場を地域の物語を体現する装置として設計します。素材・光・音・水・緑など、空間のすべてを“理念の翻訳”として機能させます。
次にソフト=体験のデザインです。理念を体感として理解できるプログラムを組み込み、人々が自らの行動を通じて場所と関わる仕掛けを作ります。
最後にマインド=理念と共感の共有です。その場所の「大切にしている価値」を明確に掲げ、住民・企業・行政など多様な主体が共有できる関係性を築きます。
こうして三層が一体となることで、都市は商業の集積から脱し、人の想いが交差する「共感の環境」として息づくようになります。
ディベロッパーには、土地の供給者ではなく“意味の編集者”“共感のファシリテーター”としての役割が求められます。
第3章 実装の設計思想 ― 空間・体験・時間の三層構成
① 環境モチーフ ― 自然・精神・創造・生命の四原型
マインド・メイキングの核となるのは、空間そのものが理念を語る構成です。
例示として、自然(森・水)、精神(和心)、創造(火・手)、生命(呼吸)などのテーマを組み合わせる手法が挙げられます。たとえば、森と水の回廊を中心に据えた「グリーンサンクチュアリ」では、再生素材・光・音を用いて“生命の循環”を体感できる場を創出します。
これにより、来訪者は言葉を介さずに理念を感じ取り、都市が「心を潤す装置」として機能するようになります。
② 体験導線 ― 「気づき→学ぶ→行動→推す」の四段階
空間に込めた理念を体験として深めるため、来訪者の心理的導線を四段階で設計します。第一段階の「気づき」では静かな没入体験を通して原点に立ち返り、第二段階の「学ぶ」では展示やワークショップによって知識的理解を促します。第三段階の「行動」では、植樹・クラフト制作・地域奉仕などの参加型プログラムを通じて理念を実践し、最後の「推す」では推し人物・推し行動・推し空間といった対象を通じて共感を外へ発信します。この体験構造により、感情移入からファン化、再来訪へとつながる循環が生まれます。
③ 時感プログラム ― 季節性と再来訪の習慣化
理念を時間軸で継続させるには、季節ごとのプログラムを通じた“再会のリズム”が重要です。例として、春の植樹祭、夏の発酵フェス、秋のクラフト奉納祭、冬の和祭などを設定し、地域住民・企業・行政・NPOが共同で運営します。
これにより、季節の変化が都市の記憶として蓄積され、人々の心に「またここに戻りたい」という感情を生み出します。社会的共感と経済的リターンを両立させる持続的仕組みとして、マインド・メイキングの成果が定着していくのです。
マインド・メイキングとは、環境(ハード)、体験(ソフト)、時感(プログラム)を通じて都市に“魂”を宿すプロセスです。
これにより都市は、単なる物理的構造物から、人と社会を結び直す「意味の場」へと進化していくのです。

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