第5章 出会いをデザインする:オフィスの行動OS⑤
【内容】
1.創造性は「出会い」から始まる
2.出会いは減っていないでしょうか
3.出会いを育てる行動OS
1.創造性は「出会い」から始まる
新しいアイデアは、一人で考えているだけでは生まれにくいものです。
多くの場合、自分とは違う知識や経験を持つ人と出会い、話をすることで、新しい発想が生まれます。
例えば、営業担当がお客様の困りごとを話し、それを聞いた技術者が新しい商品を思いつくことがあります。また、デザイナーの一言が企画の方向性を大きく変えることもあります。
このような創造は、「誰かが優秀だったから」ではありません。
異なる視点が出会ったから生まれたのです。
つまり、創造性の第一歩は「出会い」にあります。
だから、これからのオフィスでは、社員同士が自然に出会える環境をつくることが重要になります。
2.出会いは減っていないでしょうか
ところが、多くの会社では、その出会いが少なくなっています。
仕事は部署ごとに分かれ、同じメンバーと仕事をする毎日です。
会議も決まった参加者だけで行われ、他部署と話す機会はそれほど多くありません。
さらに、オンライン会議やチャットが増えたことで、廊下で立ち話をしたり、偶然顔を合わせたりする機会も減っています。
仕事は効率的になりました。
しかし、その一方で、偶然の出会いも少なくなりました。
創造性にとって重要なのは、「予定された会議」だけではありません。
何気ない雑談や、短い立ち話、ふとした相談の中に、新しい発想の種があります。
もし出会いが減れば、創造性のきっかけも減ってしまいます。
3.出会いを育てる行動OS
では、どうすれば社員同士の出会いを増やせるのでしょうか。
私は、まず「どこで出会ってほしいか」を考えることが大切だと思います。
人は、「交流してください」と言われても、なかなか動きません。
そこで最初に、社員の一日を思い浮かべます。
例えば、
朝、出社してコーヒーを飲む時間
昼休み
コピーを取りに行く時間
会議が始まる前
会議が終わった後
帰宅前のひと息つく時間
こうした日常の場面には、人と出会うチャンスがたくさんあります。
次に考えるのは、
「この場面で、どんな出会いが生まれると創造性が高まるだろう。」
ということです。
例えば、
朝なら「10分雑談」。
昼休みなら「異部署ランチ」。
会議後なら「今日の気付き共有」。
移動中なら「歩きながら相談」。
このように、出会いが生まれるシーンを一つずつ考えていきます。
そして、その行動が自然に続く仕組みをつくります。
例えば、
コーヒーパスポート
シャッフルランチ
趣味コミュニティ
お悩み相談ボード
などです。
ここで大切なのは、「交流を義務にしない」ことです。
人は交流そのものを目的には動きません。
「美味しいコーヒーが飲める。」
「面白い話が聞ける。」
「相談したいことがある。」
そんな小さな目的があるから、人は自然に集まり、そこで新しい出会いが生まれます。
最後に、その行動を支える環境を整えます。
コーヒースタンドを設ける。
立ち話ができるスペースをつくる。
毎週金曜日をシャッフルランチの日にする。
部署紹介の時間を毎月設ける。
このように、行動・空間・運営を一緒に設計することで、出会いは一時的なイベントではなく、毎日の習慣になります。
私は、これが「出会いの行動OS」だと考えています。
オフィスは、人を集める場所ではありません。
人と人が自然につながり、その出会いが対話を生み、対話が新しい挑戦へとつながっていく。
そんな日常を育てることが、オフィスの本当の役割なのです。

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