第6章 二元型からグラデーション型参加デザインへ
【内容】
1.参加は「する・しない」ではない
2.グラデーション型参加デザインとは
3.グラデーション型参加デザインの三つの設計原則
1.参加は「する・しない」ではない
これまで、多くの集客施設では参加を二元的に考えてきました。
イベントに参加した人。
参加しなかった人。
チケットを購入した人。
購入しなかった人。
施設を利用した人。
利用しなかった人。
このように、「参加する」「参加しない」という二つの状態で利用者を捉えてきたのです。
しかし実際には、人との関わり方はもっと多様です。
街を歩くだけの人もいます。
少し立ち寄る人もいます。
カフェだけ利用する人もいます。
展示を見る人もいます。
イベントへ参加する人もいます。
さらに、スタッフとして支える人や、一緒に企画を考える人もいます。
このように、人と場との関係は一気に変わるものではありません。
少しずつ深まりながら育っていくものです。
つまり、参加とは「ある・ない」ではなく、「深さ」のある連続した状態なのです。
だからこそ、これから求められるのは、「参加するかどうか」を考えることではなく、「どのように参加が深まっていくか」を設計することです。
これが、グラデーション型参加デザインの基本的な考え方です。
2.グラデーション型参加デザインとは
グラデーション型参加デザインでは、人との関係を一つのプロセスとして考えます。
最初は街を歩くだけだった人が、興味を持ち、少し立ち寄り、体験し、参加し、やがて主体的な活動へと関わっていく。
その変化を自然に促すことが、設計の目的になります。
従来の参加デザインが「入口」を重視していたとすれば、グラデーション型参加デザインは「参加の成長」を重視します。
つまり、「何人集まったか」だけではなく、「どのように関係が深まったか」が重要になります。
スポーツ施設でも、文化施設でも、商業施設でも、この考え方は共通しています。
人は最初から熱心なファンになるわけではありません。
何度も訪れ、小さな体験を積み重ねることで愛着が生まれ、やがて応援し、支え、共につくる存在へと変わっていきます。
参加デザインとは、その成長の道筋を丁寧に描くことなのです。
3.グラデーション型参加デザインの三つの設計原則
では、どのようにすれば参加は自然に深まっていくのでしょうか。
本書では、その基本となる考え方を三つの設計原則として整理します。
第一は、参加の入口を増やすことです。
参加へのハードルを下げ、誰もが自分に合った形で関われる入口を数多く用意することが、すべての出発点になります。
第二は、参加を深めることです。
一度の利用で終わらせるのではなく、体験を重ねながら、より深い関わりへと発展していく流れを設計します。
第三は、参加を共創へ育てることです。
参加者が受け手にとどまるのではなく、応援する人、支える人、そして新しい価値をともにつくる人へと成長していくことを目指します。
この三つの原則は、それぞれ独立したものではありません。
入口があるから参加が生まれます。
参加が深まるから愛着が育ちます。
愛着が育つから共創が始まります。
この連続したプロセスこそが、グラデーション型参加デザインの本質です。
次章からは、この三つの設計原則について、それぞれ具体的な事例を交えながら詳しく見ていきます。
参加の入口はどのように設計すればよいのか。参加はどのように深まっていくのか。そして、参加者はどのように共創者へ成長していくのか。その実践方法を順に整理していきます。

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