第4章 集客ビジネスは、どう進化してきたのか 参加デザイン ④
【内容】
1.「集める」ことが最大の目的だった時代
2.「満足」から「関係」へ
3.これからは「参加を育てる」時代へ
1.「集める」ことが最大の目的だった時代
集客ビジネスは、時代とともに少しずつ進化してきました。
かつて最も重要だったのは、「いかに多くの人を集めるか」でした。
新しい施設をつくる。
有名な出演者を招く。
大きなイベントを開催する。
広告を出して来場者を増やす。
こうした取り組みは、高度経済成長期から人口増加の時代にかけて、大きな成果を生み出しました。
評価指標も、とても分かりやすいものでした。
来場者数。
売上。
チケット販売枚数。
施設の稼働率。
つまり、「人を集めること」が、そのまま成功を意味していたのです。
もちろん、この考え方は現在でも重要です。
しかし、人口減少や市場成熟が進む中で、「集めること」だけでは事業の持続性を確保することが難しくなってきました。
集客は、ゴールではなく、関係づくりのスタートになったのです。
2.「満足」から「関係」へ
次に重視されるようになったのは、「また来てもらうこと」でした。
接客サービスを向上させ、施設の快適性を高め、顧客満足度を向上させる。
一度来場した人に、再び訪れてもらうことが重要なテーマになりました。
さらに近年では、その考え方も進化しています。
人々は、単に満足したから再来するのではありません。
その場所に愛着を感じたり、人とのつながりが生まれたり、自分自身の居場所だと感じたりすることで、継続的に関わるようになります。
スポーツではファンクラブが生まれ、商業施設ではコミュニティイベントが増え、文化施設ではボランティアやサポーター制度が広がっています。
つまり、施設と利用者との関係が、「お客様」と「事業者」という一方向の関係から、「一緒に育てる仲間」へと変わり始めています。
集客ビジネスは、満足を提供する時代から、関係を育てる時代へ進化しているのです。
3.これからは「参加を育てる」時代へ
そして今、さらに新しい段階へ進もうとしています。
それは、「参加そのものを設計する」という考え方です。
これまでの集客ビジネスでは、イベントやサービスを提供し、その結果として参加者やコミュニティが生まれることを期待していました。
しかし、これからは違います。
人が最初から深く関わることはほとんどありません。
街を歩くことから始まり、立ち寄り、体験し、応援し、やがて主体的に参加する。
人との関係は、このような小さな積み重ねによって育っていきます。
つまり、設計すべき対象はイベントではなく、「参加が深まるプロセス」なのです。
この考え方に立てば、スポーツも、文化も、商業も、街づくりも、同じ原理で考えることができます。
人を集めることではなく、人との関係を育てること。
一度の利用ではなく、長く関わり続けてもらうこと。
そして、利用者がやがて応援者となり、支援者となり、ともに新しい価値を生み出す存在へ成長していくこと。
これが、これからの集客ビジネスが目指す姿です。
私は、これを「参加デザイン」と呼びたいと思います。
次章では、この参加デザインとは何か、その基本的な考え方と特徴について、さらに詳しく整理していきます。

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