第7章 問いをデザインする:オフィスの行動OS ⑦
【内容】
1.創造性は「問い」から始まる
2.答えは増えたのに、問いは減っていないでしょうか
3.問いを育てる行動OS
1.創造性は「問い」から始まる
私たちは、新しいアイデアは「良い答え」から生まれると思いがちです。
しかし、本当に新しい価値は、その前にある「良い問い」から生まれます。
例えば、
「もっと会議を効率化できないだろうか。」
と考えるより、
「そもそも、この会議は必要なのだろうか。」
と問い直した方が、大きな改善につながることがあります。
また、
「もっと商品を売るにはどうすればよいか。」
ではなく、
「お客様は、本当は何に困っているのだろう。」
と考えることで、新しい商品やサービスが生まれることもあります。
創造性とは、答えを見つける力だけではありません。
本当に考えるべき問いを見つける力でもあります。
だから、これからのオフィスでは、社員が自由に問いを立てられる環境をつくることが重要になります。
2.答えは増えたのに、問いは減っていないでしょうか
AIは、膨大な情報の中から、質の高い答えをすぐに示してくれます。
企画書も書けます。
分析もできます。
アイデアも提案してくれます。
その一方で、多くの職場では、
「正しい答えを出すこと」
ばかりが求められるようになっています。
会議では結論を急ぐ。
前例に沿って判断する。
与えられた課題を効率よく処理する。
もちろん、それも大切な仕事です。
しかし、その前に、
「本当に解決すべき課題は何だろう。」
「別の考え方はないだろうか。」
「なぜ、このやり方なのだろう。」
と問い直す時間は、意外と少ないのではないでしょうか。
創造性は、答えを早く出すことではありません。
問いを深めることから始まります。
3.問いを育てる行動OS
では、どうすれば社員は自然に問いを立てられるようになるのでしょうか。
私は、まず「どこで問いを立ててほしいか」を考えることが大切だと思います。
人は、「もっと考えてください」と言われても、良い問いはなかなか生まれません。
そこで最初に、社員の一日を思い浮かべます。
例えば、
朝、その日の仕事を始める前
お客様との打ち合わせが終わった後
会議を始める前
会議の最後
新しい企画を考えるとき
プロジェクトを振り返るとき
こうした日常の場面には、問いを立てるチャンスがたくさんあります。
次に考えるのは、
「この場面で、どんな問いが生まれると創造性が高まるだろう。」
ということです。
例えば、
朝なら
「今日は何を試してみよう。」
会議前なら
「今日、本当に決めるべきことは何だろう。」
お客様との打ち合わせ後なら
「お客様が本当に困っていたことは何だろう。」
企画会議なら
「もしゼロから考えるとしたら。」
プロジェクト終了後なら
「次にやるなら、何を変えるだろう。」
このように、問いが生まれるシーンを一つずつ考えていきます。
そして、その問いが自然に続く仕組みをつくります。
例えば、
「今日の問い」ボード
「そもそも会議」
問いカード
なぜを五回考えるワーク
問いカフェ
お客様の声から問いをつくるワークショップ
などです。
ここで大切なのは、「正しい答え」を求めないことです。
人は、「答えを出してください」と言われると、正解を探そうとします。
しかし、
「そもそも、なぜだろう。」
「別の見方はないだろうか。」
そんな問い掛けから、新しい発想は生まれます。
最後に、その問いを支える環境を整えます。
自由に書き込めるホワイトボードを設ける。
問いを掲示できるスペースをつくる。
会議では最初の五分間を「問いを考える時間」にする。
月に一度、答えを出さない「問いの対話会」を開催する。
このように、行動・空間・運営を一緒に設計することで、「問いを立てること」は特別な能力ではなく、毎日の習慣になります。
私は、これが「問いの行動OS」だと考えています。
創造性とは、良い答えを持つことではありません。
良い問いを立て、その問いを仲間と深め、新しい挑戦へとつなげることです。
オフィスは、答えを出すだけの場所ではありません。
社員一人ひとりが自由に問いを立て、その問いをみんなで育てていく場所です。
そんな文化が根付いたとき、企業は変化を先回りし、新しい価値を生み出し続けることができるのです。

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